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わたしを離さないでのHKのレビュー・感想・評価

わたしを離さないで(2010年製作の映画)
3.7
ノーベル文学賞受賞がまだ記憶に新しいカズオ・イシグロ原作の映画化作品です。
日本でもTVドラマ化(綾瀬はるか主演)されていたようですが、そちらは未見です。

先に映画化されていた同作家の『日の名残り』(ジェームズ・アイボリー監督、アンソニー・ホプキンス、エマ・トンプソン主演)はずいぶん前に観て面白かったので気にはしつつも、結局ずるずると今まで放置。
先日たまたま観て拾い物だったロビン・ウィリアムズ主演の『ストーカー』が同じ監督だったのでこの機に観てみました。

どちらも舞台はいかにもイギリスですが、『日の名残り』は第二次大戦中の富豪に仕える執事の話、本作はガラリと変わって、医学が発達し1967年には人類の平均寿命が100歳を超えている設定のパラレル・ワールドSFです。

しかし、その医学の発達の実態とは?
物語は静かに進行し、比較的早い段階でそれらの謎は解けます。
そして、すべてがわかった後も物語は静かに進行し続けます。

主人公3人を演じるのは、キャリー・マリガン(当時25歳)、アンドリュー・ガーフィールド(27歳)、キーラ・ナイトレイ(25歳)。
3人とも印象的でしたが、私はこれまでキレイだと思っていたキーラ・ナイトレイが本作では全く美人に見えず、人の持つ傲慢さや弱さが痛々しくも不快なキャラを演じてたのが意外でした。

出演者は他にシャーロット・ランプリング(当時65歳)、サリー・ホーキンス(34歳)、何に出ても印象の薄いドーナル・グリーソン(27歳)など。
監督はマーク・ロマネクというミュージック・ビデオやCM出身の監督で、作品数は少ないようです。
『ストーカー』では身近に起こりうる話、本作では架空の現実という全く違う世界観ながら、どちらのテーマも現代と密接に関わっており、見終わった後の悲しさ、やるせなさには共通するモノがありました。
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