ゴジラシリーズ第2作
【作品情報】
公開日 :1955年4月24日
作品時間 :82分
撮影 :スタンダード(モノクロ)
監督 :小田基義
制作 :田中友幸
原作 :香山滋
脚本 :村田武雄、日高繁明
音楽 :佐藤勝
特技監督 :円谷英二
出演 :小泉博、千秋実、若山セツ子志村喬、ほか
【製作舞台裏概要】
『ゴジラ(1954年)』の爆発的大ヒットを受け、急遽製作された。
前作公開から約半年後の公開、撮影期間は実質3ヶ月という突貫工事の急造作品ながら、ミニチュアワークは前作より向上している。
特徴とされるスピーディな動きは、人的ミスによりコマ落とし撮影となった結果生じた、怪我の功名である。
前作の試写等で、ゴジラの死を悲しみ涙した原作者香山滋は、本作で復活したゴジラを再び殺す結末にすることはできず、氷の中に閉じ込めることに。本作以降も原作を依頼されるが、同理由により拒み続ける。
製作陣については、本作より、円谷英二が特技監督としてクレジットされるようになる。
また、前作に引き続き、黒澤明率いる黒澤組より志村喬が山根博士を再演。
【作品感想】
噛みつき!噛みつき!ひたすら噛みつき!
ゴジラシリーズ最初の怪獣同士のバトルは、まさに死闘と言っていい暴れっぷりです。
前作とは別の個体として再び世に現れた、乱杭歯剥き出しのゴジラ。
水爆実験により目覚めた犬のようにマズルの伸びたアンキロサウルス→アンギラス。
この二匹による、大阪一帯を蹂躙・破壊する壮絶なバイティングバトルは、他のゴジラシリーズには無い、闘志剥き出しの"野生の奔流"が垣間見えます。
また、喉笛を喰い千切られたアンギラスが、放射熱戦によって焼き滅ぼされる、という壮絶な死が描かれる点も特徴的です。
怪獣の明確な死の描写は、以降の昭和ゴジラではあまり描かれなくなるため、一層印象深いですね。
正直なところ、この二匹の戦いの過程(大阪城大破壊等)は素晴らしいのですが、作品の大半を占める人間ドラマパートは、かなりつまらないな……という印象です。
『海洋漁業KK』という一企業のプロペラ機パイロットが、第一発見者ではあれど、なぜここまで物語に絡めるのか、自分では全く紐付けられません。
「このドラマパートが好き!」という方もいるのかもしれませんが、個人的には、ドラマパートだけ取り上げた場合のスコアは、いいとこ2.0です。
あくまで怪獣映画ですので、ゴジラとアンギラスの激戦に配慮し、3.0とさせていただきます。
【ゴジラシリーズ所感等駄文②】
前作の大ヒットにより、一躍東宝の稼ぎ頭となったゴジラ。
映画作家・本田猪四郎の手を一旦離れ、急拵えに作られた本作以降、その寓話性が薄れていき、次第に〈子ども達のヒーロー〉へと変わっていきます。
本田猪四郎はこの後もバンバンゴジラ作品を監督していきますが、ゴジラシリーズは子ども向け路線に舵きりし、自分の描きたいことは少し交える程度に抑えていった印象です。
その分、『海底軍艦』や『ガス人間第1号』、『妖星ゴラス』と言った作品で、作家性を発揮していったようですね。
ゴジラには、人間を容赦なく殺し、都市を破壊し、何もかもを灰燼に帰す、そんな不条理感・絶望感を求めている身としては、昭和シリーズのヒーロータイプは、今はまだ苦手です。
いつの日か、"破壊の化身"たるゴジラのみならず、"子どもたちのヒーロー"なゴジラを、心から愛せるようになりたいです。