Jaya

夫婦善哉のJayaのネタバレレビュー・内容・結末

夫婦善哉(1955年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

船場のボンボンの柳吉とキタの芸者蝶子が何だかんだ離れられないというお話。昭和初期の商店やら法善寺の様子が分かって楽しいです。

柳吉こと森繁久彌、蝶子こと淡路千景の演技が度外れに素晴らしかったです。柳吉の粋な線の細さと強さ、そして蝶子の気立てやら弱みやら盲目っぷりやら、細かく行き届いた演技が美しかったです。

背景の細かいところまで気を配ったような撮影も素晴らしい。圧巻はラストの雪景色。被写界深度にもかなりグッときます。もしや本当に雪待ちして撮ったのでは?と思うようで、とても美しい。

柳吉に惚れ抜いている蝶子。勝手に金を使い込まれたり、一緒にいてもさほど未来が見えるようでもないのですが、暗さを演技力で乗り切っていたよう。父を通して公に認めてもらえなかったことで自殺を図るとは、ちと時代を感じました。

テンポは良くともダイジェストみたいな流れで、原作を上手く料理しているようには感じませんでしたが、主役の二人の圧倒的な演技力と撮影の美しさに目を奪われた名作でした。
Jaya

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