平野レミゼラブル

ヴィドックの平野レミゼラブルのレビュー・感想・評価

ヴィドック(2001年製作の映画)
3.1
『全細胞が狂喜するハイパー・デジタル・アクション!!』
ことばの意味はわからんがとにかくすごい自信だ!
上記の迷キャッチコピーから、なんかシュワちゃん的筋肉アクション映画を想像するかもしれないが、どちらかというとスタイリッシュ系のアクションサスペンス映画である。

精気を奪う鏡の仮面を被った錬金術師がマントをたなびかせて動き回るのはやはりカッコいい。
元々アート志向の強いフランス映画で美術畑を担当していた監督が作るだけあり、パリの街や娼婦街、ガラス工房といった舞台がある種のディストピアめいた暗く禍々しくも魅力的な絵になっているのは圧巻。
流石に今見ると『ハイパー・デジタル』自体は古いと感じる部分もあるかもだが、メインの仮面の錬金術師が跋扈するのにこれ以上適した映像はないだろう。
オカルトめいた怪人に相対するヴィドックは、史実準拠の無骨なオッサンなのも堪らない。

ただまあ、映像面は凄いのだがストーリーに関しては相応にB級といったところ。
なんか冒頭でやたら回りくどい科学トリック使った殺人をしたなと思ったら、次の瞬間にはナイフで刺し殺すサスペンスに移行し、最終的になんかよくわからないオカルト方面に完全に足を突っ込んでいくので色々忙しい。
あくまで仮面の怪人蔓延るダークシティを味わう映画なため、深く考えずに雰囲気で楽しむくらいがちょうどよい感じかなァ。

しかしこの映画、子供の頃にTVCMがやたら流れていて「この顔を見たら死ぬ」みたいなキャッチコピーと雰囲気が怖くて、流れるたびに顔を反らしてたのを思い出した。
思わぬ記憶を呼び起こしてくれたこともあり、なんかそれ相応の思い入れもできてしまった作品だ。