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無頼 黒匕首(くろドス)
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『無頼 黒匕首(くろドス)』に投稿された感想・評価

4.7
【たった一人の戦争🪖】

安定した日活ドル箱シリーズ『無頼』の五作目。小沢啓一監督による1969年の正月映画として石原裕次郎の『忘れるものか』と二本立て公開されたモノである。

脚本は、第一作目の世界観を作った池上金男。またタイトルの『黒匕首』は、前作から登場した主題歌『人斬り五郎』の歌詞にも登場する、五郎の持つドスのこと。

ちなみに作詞の滝田順は、赤木圭一郎の『若さがいっぱい』石原裕次郎の『花と龍』『泣かせるぜ』など、日活映画主題歌を多く手掛けている。作曲は第一作『無頼より・大幹部』から第3作目『無頼非情』で、このシリーズの音楽を手掛けた伊部晴美。

『無頼・黒匕首』には、これまでのようにアバンタイトルはない。敵と斬り合う五郎の姿を、効果的なストップモーションで描いている。観客にとって、藤川五郎という男のキャラクターはすでに織り込み済み。アクションで見せる。そして街には累々たる死体の山。

これまでのシリーズのエッセンスをすべて凝縮したオープニング。白いマフラーに黒い皮ジャンスタイルで、五郎の好敵手として強烈なインパクトがある川地民夫と、その一騎打ちに「五郎さん!」と逃した筈の由利(松原智恵子)が戻ってくるが、五郎に駆け寄る由利の体を、刃が貫く。目の前で恋人が死んでしまうのだ。

由利を喪失した五郎の悔しさと、誤って由利を刺してしまった末雄(川地民夫)の後悔。これが本作の、主人公をめぐる過去となる。これまでヒロインは決して死ぬことがなかったが『無頼非情』を除けば、クライマックスで死闘を繰り広げ瀕死の五郎を受け止めてくれたのは、松原智恵子のヒロインだった。しかし今回の物語は、この喪失から始まる。この巻頭の7分間が濃密で嫌でも脳みそにこびりつく出来。

それから2年が経ち、戦後辛酸を舐めてきた五郎と米軍基地。ベトナム戦争のことが頭をよぎるように、輸送機のランディングが度々インサートされる。旧知の元ヤクザ三浦健介(中谷一郎)を訪ね、そこで五郎は働かせてもらうことになる。健介の妹・志津子(松原智恵子)が、亡くなった由利の生き写しだったことから、五郎の気持ちは揺れ動く。

一方、立川では、古くから地元のやくざ鶴岡組の鶴岡(葉山良二)を狙って画策している。さらに五郎の昔の女・小枝子(北林早苗)が、鶴岡組代貸・竹宮国松(露口茂)の女房になっていて、五郎は再び、やくざの汚い世界の対立に巻き込まれてゆく…ってなプロット。

後半。志津子に、由利への思いを聞かれた五郎は「好きだと思った。その時は…。好きになっちゃいけねえんだ。そう思いながら、好きになってたんだなぁ」と正直に胸の内を話す。志津子は「好きなんです、五郎さんが。好きになんかならない、そう思っていて、やっぱり好きなんです…」二人は見つめ合い、志津子が駆け寄る。二人が恋するプロセスを丁寧に描いた、この夕焼けのススキ野原のシーンが兎角印象的。

また今回は、ギター流しの女の子(大橋レミ)が、1959年の第一回レコード大賞受賞曲「黒い花びら」(水原弘)を歌う。

クライマックス。志津子の思いを断ち切って、五郎が死地に赴く。立川基地のショットがインサートされ米兵相手のクラブ前の路地や、店の中で、例によって移動しまくりながらの斬り合いが展開されていく。五郎にとって【たった一人の戦争】なのだ。すべてが終り、米軍基地のフェンス伝いに瀕死の五郎が歩いてゆくショットが実に儚い。

あまりにも詩的且つ、ダンディズムを痛感させられる浪花節日活映画。ここまでスタイリッシュな男👨の死に様は見たことがない‼️
つよ
3.0
出所した元?ヤクザが昔の女と再会し、助けを求められる。
ヤクザ同士の争い、斬り合い。
シリーズ5作目。1作目以来の渡哲也と川地民夫の共演が見られる。シリーズ屈指の凄絶なバイオレンス作品。指を折る責め方がきつい。組に手を出すと容赦のないやられ方をする。
相変わらず藤川五郎の周囲の人々がバタバタと死んでいく。男と女の抗えぬ関係。そっくりな人物として劇中再登場する松原智恵子。
どうしてもラストは泥々にしたいみたいだ。

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