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愛と喝采の日々のクレセントのレビュー・感想・評価

愛と喝采の日々(1977年製作の映画)
3.8
ディーディーがエマに言った。エマ、エミリアに読んだ本覚えている?2人の王女の話。一人は口を開くと宝石が出てくるの。もう一人からはイモリやヒキガエルがでてくるわ。それを聞いてエマが答えた。もうそのうちのひとつが出てきたわね。エミリアにドレスを贈ったのが迷惑といったときよ。何年もためていたみたいね、ディーディー。違うわ、エマ。何故あの時親友の私に夫を失うように仕向けたの?何故不仲にさせようとしたの?それは勘違いよ。よくあることじゃない。でもバレエはほかでも踊れると言ったわ。エマ、あなたはどうしてもあの役が欲しかったのよ?人のせいにしないで、ディーディー。選んだのはあなたよ。もう悔やんでも遅いわ。あなたも同じよ。でもエミリアはあなたと違うわ、エマ。あなたは平気で人を傷つけるわ。もうあなたの嫉妬にはうんざりだわ、ディーディー。本能がないから逃げ出したんでしょ。エマ、あなたは私の娘のエミリアを引き立て役に使ったのよ。

こうして嫉妬と失望に苛まれた昔の親友同士は、果てしない罵り合いをつづけるのであった。

その昔、W.ワイラー監督による大いなる西部という映画では2人の男の果てしない殴り合いが話題となったが、今こうしてみるとこの2人の女は果てしない口喧嘩の末、最後はつかみ合い、叩き合いそして和解につながっていく。新しいヒロインの登場に沸いた劇場の、今はだれもいない舞台の上でひとり佇むエマを見て、駆け寄るディーディー。この当時、ハッピーエンドはハリウッド映画の王道であったが、現代ではもはやそのようにはいかなくなってきたのではないか。
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