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メカゴジラの逆襲のbackpackerのレビュー・感想・評価

メカゴジラの逆襲(1975年製作の映画)
3.0
ゴジラシリーズ第15作

【作品情報】
公開日  :1975年3月15日
作品時間 :83分
撮影   :シネマスコープ
監督   :本多猪四郎
製作   :田中友幸
脚本   :高山由紀子
音楽   :伊福部昭
特技監督 :中野昭慶
出演   :佐々木勝彦、藍とも子、平田昭彦、内田勝正、麻里とも恵、中丸忠雄、睦五郎、ほか

【製作舞台裏等概要】
昭和ゴジラシリーズ最後となった本作では、本田猪四郎監督(6年ぶり)や伊福部昭(3年ぶり)が復帰。
また、ゴジラシリーズ初の女性脚本(高山由紀子)作品である。
高山氏の脚本により、生物学者・一ノ瀬と、学会を追われた生物学の権威・真船博士の娘・桂との悲恋という人間ドラマが、本田監督ワールドにプラスされ、より重厚なものとなった。

これまで予算不足により描かれる機会が減少していた、都市の破壊、群衆のパニック、自衛隊と怪獣との戦闘、といった描写が復活したのは、本田猪四郎監督復帰のみが要因ではなく、田中友幸プロデューサーによる①大人向けゴジラ路線への原点回帰、②邦画斜陽と低迷する観客動員の回復、等を目指した事も大きい。

残念ながら、本作は観客動員に結びつかず、ゴジラシリーズのは休止。
ゴジラは9年間の眠りにつくこととなる。


【作品感想】
率直な疑問ですが、なぜ、ゴジラ等の巨大怪獣が普通に存在する世界なのに、水棲恐竜チタノサウルスの発見及びそのコントロールを提唱したら、学会を追放されにゃいかんのでしょうか?
ゴジラはいいけど、恐竜はいかんのか?
酷い学会があったもんですね。了見が狭すぎる。学会がまともなら、真船博士は復讐鬼にならんで済んだのに。


さて、本作は昭和ゴジラ最終作となりましたが、やはり感想を記す上で外せないのが、真船博士演じる平田昭彦(前作『ゴジラ対メカゴジラ』では、娘を人質に取られやむなくメカゴジラを修理する科学者を演じました)。

平田昭彦と言えば、第1作『ゴジラ』で、過去に苛まれ苦悩する科学者・芹沢博士を演じ、その後も多くの科学者役を特撮作品にて演じてきましたが、本作の老科学者・真船博士は、まさに芹沢博士の闇落ち版!

自らの罪に苦悩し、多くの葛藤の末、自分のような存在(及び世代)は今後の日本にいてはならないと結論づけ、「幸福に暮らせよ」と言い残し死んでいった芹沢博士。
逆に真船博士は、自らを追いやり、不遇な人生を送らせ、妻を失うきっかけとなった学会及び人間社会の全てを憎悪しており、コレを破壊する・復讐することに執念を燃やしております。

この真船博士のキャラクターは、要するに初代ゴジラそのものですよね。
人間への憎しみからくる破壊と殺戮、巨大な怪獣の姿から、等身大の人間の姿へと変わっただけにすぎません。
いやー、自分(芹沢博士)が殺した存在(ゴジラ)に、自分(真船博士)がなるだなんて、平田昭彦、すごい役者さんですね。

もちろん、その構図を用意した本田監督も素晴らしい。
本田監督のゴジラに共通している、怪獣・科学者(&その娘)・人間という構図はいつも通りですが、最終作でゴジラと科学者を同化ささるとは、恐れ入りました。
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