このレビューはネタバレを含みます
京劇役者の程蝶衣と段小楼の幼少期からの物語に1922年から1977年までの中国近代史が重なるお話。史実では覇王別姫は1922年初演らしい。
蝶衣ことレスリー・チャンが名演。化粧映えが凄く声が堂に入っていました。カマっ気がわざとらしく感じたところもありましたが。名演技が多かったですが、歌声が明らかに違う人なのはなあ。
時代に翻弄される京劇、エピソードてんこ盛りなのはいいのですが、盛り込み過ぎてかなり無理が出ていました。小楼の人格はブレブレな印象。幼少期なんかは丸ごと要らなかったんじゃないの…?
カメラワークが途轍もなく残念。冒頭の稽古から上辺だけで現実感がない。肝心の京劇のシーンが驚く程臨場感なくて白けました。しかも一貫してブツ切りでシーンの繋ぎ程度の扱い。芸の真髄など全く伝わらず。演出も野暮ったく観ていてキツかったです。障子越しのシーンが印象的にダサかった…。
美しいものを扱っているのに美しいと思えるカットは皆無でしたが、俳優陣の怒涛の演技のおかげで長尺ながら飽きずに観ていられた映画でした。