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点と線のbackpackerのレビュー・感想・評価

点と線(1958年製作の映画)
3.0
【備忘】
戦後日本の代表的小説家・松本清張のベストセラー小説を映像化した、ミステリー映画の名作。
原作未読、ドラマ等未視聴。「東京駅のあるプラットフォームから別のプラットフォームを見通せる時間はほんの数分しかない」ことを用いた作劇がされているとの、昔から耳にする情報のみで鑑賞。

テレビ等では、上記部分のみクローズアップして語ってばかりだったため、「本要素がクライマックス等にくる大変重要なトリックとして仕組まれている」とばかり刷り込まれていたため、前半早期段階で発覚し、早々にさらっと流されたため、かなり驚き。
また、内容が所謂官民疑獄事件の真相究明のためのアリバイ崩しものであったため、勝手に抱いていたイメージとの大きな乖離に二度驚き。
疑獄発覚防止のために、心中事件の如く偽装され死んだ男女よりも、その実行犯たる安田とその妻との冷え切った関係性へとスライドしていく展開には三度驚き。
結末の夫妻心中エンドは予見できたが、心中に始まり心中に終わる映画であること、疑獄の解決には作中では至らないこと、時刻表トリックがメインでないこと等、多くの点で先入観を覆していく作品であったため、非情に印象深い。

役人の言い逃れと責任転嫁の無様は、いつの時代もまるで変わらないものだとしみじみ。
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