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狂い咲きサンダーロードの小のレビュー・感想・評価

狂い咲きサンダーロード(1980年製作の映画)
3.9
いやー、めちゃくちゃ。もうマンガの世界。暴走族のお兄さんのキカイダーみたいなメイクとか、金属のマスクとか、可笑しすぎでしょ。当時の若者がやりたいことを全部やったら、こんな感じになりました、みたいな。時代の空気感が出ているかも。

暴走族が跋扈し、警察も結局はその仲間みたいな感じで、“スーパー右翼”が街を守っていると自ら主張する幻の街「サンダーロード」で、一人反抗する暴走族「魔墓呂死」の特攻隊長・仁。

理屈じゃない。天上天下唯我独尊。対抗勢力と協調することは日和ること。強いものに従うとは負けること。80年代若者の必修科目、バイクとロックをふんだんに盛り込み、理由不明のイライラを爆発させる。

「出る杭は打たれる」のことわざ通り、半殺しの目にあった仁だったが、それでも懲りずにバトルスーツに身を包み、暴走族、警察、“スーパー右翼”、すべてを敵に回し、最後の決戦に挑む。

ここまでめちゃくちゃだと、見ようによってはカッコ良く見えてしまうから不思議。しかし、カッコ良いというよりも、周りがもっとめちゃくちゃだから、仁が一番まともに見えてしまうのかも。

個人的に一番ウケたのが、小林稔侍さん扮する“スーパー右翼”の幹部。独善的かつ、かなり自分勝手な性格で、マジメな顔して言っていることは、「何それ? わけわかんねー」感が強いから、笑っちゃう。

今の若い人が観たら「バカじゃね」とか思いそうな気がする映画だけれど「芸術は爆発」。今の若い人達が「面白そうだから、とにかく爆発してみない?」みたいな映画を作ったらどんな風になるのか、とても興味がある。
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