ぼのご

黒い家のぼのごのネタバレレビュー・内容・結末

黒い家(1999年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

『黒い家』は原作を終盤近くまで読んでいたんだけど、サイコパスを題材にしたホラーなだけあって描写がエグくて読むのをやめてしまった作品。話自体はたまに気になっていたから、今回映画で最後まで観ることが出来て良かった(内容はところどころ違うけど)。

大竹しのぶさんが演じる菰田幸子、強烈というか異常な怖さ。能面ヅラに近い無表情だけど目に害意があって、獲物を狙う凶暴な虫みたいだった。
初めは犯人かと思われた菰田重徳はひたすら可哀想だったな。幸子に小学生の頃から目をつけられて、酷いことをされ続けていたんだろう。重徳の書いた作文や幸子の連れ子を悼む気持ちから、彼が純粋であることが後々わかってしまうのも余計につらい。挙動不審な様子が段々ストレスによるチックにも見えた。幸せになってほしい……。
主人公の若槻は普通の人だけど、保険会社で人の命を数字で見てしまっている場面があったり、普通の人の怖さも感じた。

恐ろしい話だけど、クラブの場面とかラストのアクションは結構テンション上がる。殺人に際して欲情する幸子の振る舞いがまた迫力あった。

トークショーでライムスターの宇多丸さん、脚本の大森さん、美術の山崎さん、プロデューサーの三沢さんが来てた。
山崎さんの話によると、菰田幸子のイメージカラーが黄色ということから、演出部の人と話し合って黄色の小物を揃えたらしい。映像の至るところに黄色が映っていてかなり作品に影響してる。それでいて目立ち過ぎず自然に配置されてあった。映画は美術も重要だなと改めて思った。
また終盤で窓ガラスが割れているのは撮影中の事故で割れてしまったとのこと。それが上手く作品に取り入れられて、ボーリング玉で窓ガラスが割られる伏線にもなっていたから、監督の対応力すごいなと思った。

ボーリング玉が出てくるのは脚本には書いてなくて監督のオリジナルなんだとか。原作で幸子が猫の頭を主人公に送りつける描写があったけど、流石に映画でそれは出来ないから頭をイメージさせるボーリング玉使ったのかと思ったけど、そうでもないらしくこっちの深読みだった。このボーリング玉の悲劇も保険会社のロゴが伏線になっていて、細部がよく作り込まれた映画だった。
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