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王女メディアのkuuのレビュー・感想・評価

王女メディア(1969年製作の映画)
3.7
『王女メディア』
原題Medea.
製作年1969年。上映時間112分。

『アポロンの地獄』でギリシャ神話の世界に、独自の大胆な息吹をふきこんだパゾリーニが、再びギリシャ神話の“メディア”にとりくみ、宿命の女性像を造形したイタリアン作品。

幼き日に奪われた王座の返却の条件として上げられた金毛羊皮を得るため、異郷の地コルキス王国を訪れたイアソンは、そこで怪しげな生け贄の儀式を行う巫女メディアと出会う。
一方、一目で彼への燃えるような愛に落ちた彼女は祖国の繁栄を支える金毛羊皮を盗み出し彼に捧げる。。。

エウリピデスの有名な戯曲『メディア』をパゾリーニが映画化したもので、
不思議でいて、神秘的。
悲劇で未知のものが深く描かれてる。
パゾリーニの『メディア』は、ストイックなビジュアルデザインやし、控えめな編集と綿密なフレーミングで、神秘的なモンと現実的なモンを縫合し、ケンタウロス(ローラン・テルジェフ)がに示した人生についての概念を表現してた。
今作品は舞台でもある神話的な設定に最も近い奇妙感じがするし、逆に自然の状態に曝される感じがして不思議やったかな。  
死、世代交代、神話的な表現を通して、パゾリーニは古代世界への嘆きを表現してて、ストーリーは、イメージによって巧みに語られてるし、静止画のロングテイクと静止画の顔のクローズアップが微妙にマッチしてストーリーを表現してたかな。
そのため、台詞は少なく、シーンを区切る必要もあまりないんやろな。
パゾリーニの『メデア』は、理性的に理解するちゅうよりも、感覚的に感じ取るべき映画なんかもしれへん。
今作品に対してブルース・リーの名言を引用するなら(実際はブルース・リーも禅問答を引用してるんやけど。)
“Don’t think. feel! It’s like a finger pointing away to the moon. Don’t concentrate on the finger, or you will miss all the heavenly glory.”
壮大な作品はパゾリーニの真骨頂やし、それにふれれて、
また、当時、カラスは海運王オナシスに棄てられたばかりだったし、その恨みや悲しみもまた映画に捧げられてるって書いてあったが、
まさしくその通りで個人的には満足いく作品でした。
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