むぅ

となりのトトロのむぅのレビュー・感想・評価

となりのトトロ(1988年製作の映画)
4.8
メイよりは大きくて、サツキよりは小さかった夏休み。
毎年夏休みを過ごす祖父の家に向かう途中、母に相談した。
「おじいちゃん家に着いた時、なんて言って玄関を開けよう?」
お邪魔しますは大人っぽいし、ただいまはちょっと照れちゃう。こんにちは、は何か変な気がする。
結果、大声で「おじいちゃーん!」と言ってガラガラと扉を開けた。
その話を聞いた祖父が喜んで、翌日大きな本屋さんまで連れて行ってくれた。
「好きな本、何冊でも買ってあげるよ」「何冊って何冊?」「10冊でも20冊でもいいよ」小賢しいところのある私は間をとって15冊の本を買ってもらった。
あの時のトキメキを超えるプレゼントって、もしかしたらまだないかもしれない。
トトロを観ると、もう亡くなった祖父を思い出す。
そして祖父に夏のイメージがあるのは、夏休みに会ってたからなのか、と当たり前のことに改めて気付いた。

暑くて、ミンミン鳴いてるセミの声が「ギャーギャー」に聞こえてため息が出ちゃう自分は、ずいぶんつまらない大人になってるんじゃないかと思ってしまった。

トトロと同時上映だった「火垂るの墓」が当初の予定上映時間より延びて、トトロより20分くらい長くなったことに宮崎駿監督が「なにそれズルい!じゃあ、トトロも主人公1人じゃなくて2人の姉妹にして上映時間増やす!」と言って、サツキとメイが生まれたというエピソードがちょっと好きだ。

ちゃんと‘大人’でいたいと思うけど、‘子供’の部分も大切にしたい。

サツキとメイと別れるシーンの猫バスの行き先が“す”になっているのを発見して、そうか猫バスもお家があるんだなと嬉しくなってしまった。

残りの夏、暑い暑い言ってないで、当たり前に来てくれた夏が大切なことを心に留めて過ごそうと思う。
むぅ

むぅ