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トリハダ 劇場版のhorahukiのレビュー・感想・評価

トリハダ 劇場版(2012年製作の映画)
3.0
幽霊とか超自然的なものが全く登場しない日常に潜む恐怖を描いたオムニバスホラー。

もともとテレビで放送されたものの劇場版ということらしいです。一話一話が短いのでサクッと見れたのが良かったですね。

プロローグ
コールセンターのオペレーターをしている主人公のひかりはマンションで一人暮らし。ある朝目覚めるとベランダの出入口となっているガラス扉に外側から手形がついており…。

各話の合間に少しずつ物語が進んでいくタイプの縦軸作品。予想外の方向に転がっていくのが面白いけど、大きく時間を割いた事柄への対応が不誠実。

1話目『見えざるものの中にある真理』
主人公の由美子はトランクルームに荷物を運んでる時にずっとこちらを見てる気持ち悪い男に気づく。急いで自宅に戻るが、次の日またトランクルームに立ち寄ると、その男が勝手にシャッターをこじ開けようとしていて…。

そっち!?ってなること間違いなしな捻りの効いた一発ネタ作品。そんなに好きじゃないです。

2話目『異常な愛情と情念の6日間』
宅配便のドライバーをしてる主人公孝史は、再配達の電話を受けてとあるアパートに住む女性に荷物を届ける。それ以降、その女性から電話が何度もかかってきて…。

よくあるストーカーに付きまとわれる話。仕事用携帯だからこそ、電話に出なければならないという恐怖。でもまあ特に捻りもない普通な感じ。

3話目『好奇心から生まれる想像と漆黒』
主人公のオッサンは仕事帰りにバスに乗っている時に何気なく前の席に座るJKの携帯を覗き込んでしまう。彼女は男とメールをしているようだが、その文面が常軌を逸していて…。

これが一番好き!
バスの後部座席から他人のメールでのやり取りを覗き見るという対岸の火事的というか、安全な領域からの野次馬的見物。だったはずが、川を飛び越えこちら側へと侵食し、見物人から当事者へと一気に引きずり落とされる恐怖。ただラストが残念…。

4話目『理想と現実の相違から訪れる闇』
主人公の葉子は引っ越したばかりの部屋で夕食用のカップメンに湯を注いでいると、インターホンが鳴る。外には帽子を深く被って表情の見えない男が立っていた。警戒しながら応答するとシチューを作り過ぎたから食べて欲しいとのことだが…。

観客の感情をコントロールするのが非常にうまい作品。不安と安堵を行ったり来たりさせつつ、無慈悲な一撃でどん底へと突き落とす容赦のなさ。逃れられず確実に迫ってくる恐怖を予感させるラストも良かった。でも、どんな理由があっても普通ドア開けないよね…。あと伏線の貼り方が雑過ぎ。

5話目『自身に降りかかった悪夢と結末の相違』
主人公の夕子は仕事終わりにジャケットのポケットの中から30と書かれた紙を見つける。次の日には29と書かれた紙が。毎日数字が小さくなっていくけど、誰にいつ入れられてるのか全く分からず…。

1話目のような捻りの効いた作品。ただ、セリフにしないのならせめて映像的違和感等による伏線がないと怖さが伝わってこないし振り切れない。一応微妙にあったのはあったんだけど、アレではちょっと…。

6話目『誘惑と疑念の葛藤と脅迫』
主人公の真貴子は夫の浮気を疑っていて、「浮気したら殺す」と言いつつもそれ以上は何もできない。そんな真貴子のもとにライフスタイルを提案するという女から電話がかかってきて…。

これも予想外の捻りを見せてくる作品。こちらの個人情報をズバズバ言い当ててくる営業電話ってだけで怖いし、しかも会話が全く成立しないことによる恐怖。その方向で最後までやれば良かったのにな〜。結局何であんな電話したんだろうね。公衆電話からの着信で会社名乗るのは無理がある。

圧倒的に3話目が好きだけど、次点で4話目ですかね。それ以外は特に惹かれるところはなかったですね〜。1話目と5話目なんて内容は違うけど、やり口はほぼ一緒だし。ぼーっとテレビ見てる時にやってたら楽しめると思うので、また定期的にテレビで放送して欲しいです!
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