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ローズマリーのhorahukiのレビュー・感想・評価

ローズマリー(1981年製作の映画)
3.5
35年前の惨劇再び!
カップル惨殺事件のせいで長らく禁止になっていたプロムが解禁!はしゃぐ学生どもに全身軍服の殺人鬼がピッチフォークで襲いかかるスラッシャーホラー。

あらすじ…
35年前、戦争に行った男を振って新しい男とイチャイチャしてた女学生が、その男とともにプロムで惨殺された。それ以降プロムは禁止。今年、久々の開催に大はしゃぎな学生たちだが、全身真っ黒な軍服を着た殺人鬼が現れる。35年前の事件との関係は…。

『血のバレンタイン』そっくり(笑)細かい違いはあるし、そもそもスラッシャー映画って設定が似てしまうことがほとんどだと思うけど、全身軍服(あっちは鉱山服)という殺人鬼の出で立ちからどうしても血バレをおもいだしちゃいますね。過去の惨劇に起因するとことか、そのせいでプロム(あっちはバレンタイン)を長らく禁止してたりとか。フィルマではどっちも81年製作になってるけど、どっちが早いんだろ。

本作は脚本的には破綻が多いです。これも多くのスラッシャーがそうだとは思うのですが、本作の場合、犯人は誰かという謎解きミステリー(こういうところも血バレにそっくり)がひとつの要素として含まれているため、ところどころが雑に感じてしまう。

ただ、ジョセフジトー監督の恐怖演出はピカイチだしトムサヴィーニの特殊メイクも説明不要の素晴らしさ。暗闇+真っ黒な軍服を着た殺人鬼というビジュアル面でのポテンシャルを生かした演出は引き込まれるほどの恐怖を覚えるし、どうやって撮影してるのかわからないほどの卓越したグロゴア描写には拍手しかないです。そこにピッチフォークという凶器が良い味を出してる。ピッチフォークは農具として使われる大きなフォークのような見た目のものなのですが、ナイフのような鋭利さはないため、より無機質かつ粗暴な印象を与えることに成功している。ちなみにジョセフジトーとトムサヴィーニはこの後『13日の金曜日・完結編』でもコンビを組んでいます。

ただ、恐怖演出にしても良いところだけではなくて、明らかに不要というかやりすぎているものがいくつか見られ、それが脚本的な破綻の一因にもなっているのが残念。

スカしの描写がそれなのですが、本命の恐怖演出とのメリハリがなく、スカしであるのにスカしだと思えないような演出になっている。そのため「アレは何だったのか?何か犯人と関係があるのか?」というようなシコリを残してしまい、最後まで回収されないその謎にモヤモヤを残したまま幕切れとなってしまう。最後まで見て初めて、何も回収されなかったからアレはただのスカしだったのだとわかる。スカしは終幕までにスカしだとわからせないといけないと思うんですよね。スカしだったという説明的描写がないと混乱してしまう。

普通、車の中に首突っ込んで何も言わずに逃げ出すなんてことしないし、必死に逃げてるやつの手を掴んで、しかも「離して!」って言ってるのに無言のまま絶対に離さないなんてことしないよ。後者はボケてた説あるけどね。そんな感じで脚本が雑ではあるけど、恐怖演出やグロりんちょが冴え渡ったスラッシャーで楽しめました!
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