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ル・コルビュジエの家のHKのレビュー・感想・評価

ル・コルビュジエの家(2009年製作の映画)
3.6
オープニングの壁に穴を開けるハンマーの音からインパクト大。
原題は“El hombre de al lado” スペイン語で“隣の男”という意味だそうです。
英題では"The Man Next Door"とそのまま。
舞台は有名建築家ル・コルビュジエが設計したアルゼンチンの“クルチェット邸”です。

ここに住むのは椅子の世界的なデザイナーのセレブ一家。
越してきた隣人が、こちらの窓の正面の壁に窓を作ろうとしたことから諍いが勃発します。
いかにもインテリでメガネの主人公と対照的にいかつい坊主頭で凄みある人相の隣人。
ところが、迷惑な隣人に苦しめられる主人公一家の受難の物語と見せかけて・・・

監督はガストン・ドゥプラットとマリアノ・コーン。
このコンビの監督作は最新作の『コンペティション』がけっこう好みだったので、『笑う故郷』、本作と遡って鑑賞(途中、コーン単独監督作の『4×4 殺人四駆』もついでに)。
本作はこの中で最も初期の作品ですが、一貫したシニカルな視点は共通。

『笑う故郷』と同じく脚本はアンドレス・ドゥプラット(『コンペティション』でも監督2人と共同脚本)。
いまひとつだった『4×4』の脚本には関与していないようなので、他の3作品が面白いのはこの脚本家の功績大ということでしょうか。
この人、建築家で美術キュレーターでもあるそうです。なるほど。

『コンペティション』では有名監督と俳優、『笑う故郷』では有名ノーベル賞作家、本作では有名デザイナーとどれも鼻持ちならないセレブ芸術家が登場するブラックでダークなコメディですが、一番古い本作が一番陰湿で後味はよくないかも。
それでもいろいろと楽しめましたが。

窓を細長い明かり取りにする案で決まりだと思ったんだけどなあ。
あの家、遮音性は低そう。
主人公の隣の男から見ると主人公も隣の男。
さて、真の被害者はどちらか・・・

そういえば、隣人トラブル映画と言えば、学生時代にジョン・ベルーシ主演の『ネイバーズ』っていう映画を観た記憶が。
アレッ、『ネイバーズ』って映画、何本もあるんですね。知らなかった。
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