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千年女優のbackpackerのレビュー・感想・評価

千年女優(2001年製作の映画)
4.5
キャッチコピーは、『その愛は狂喜にも似ている』
追憶の果てに今を見て、ただ"あの人"に会いに行く。

映画会社銀映の老朽化した撮影所の取り壊しが始まった。
そこで、銀映の大女優であった藤原千代子が30年ぶりに取材に応じることとなった。
彼女の大ファンである立花源也はカメラマンを引き連れ、彼女の下を訪ねる。
立花は、千代子に渡したい物があった。それは、彼女が肌身離さず持っていた一本の鍵。
千代子にその鍵を返すと、彼女は自分の人生を滔々と語り始める。
それは、彼女の半生であり、彼女が出演した映画の人生でもあった。
話は、二つの人生が複雑に絡み合いながら、千年の時をかけ紡がれていく……。


幼い少女時代から、年を経て貫禄を見せ始めた大人の女になっても、変わらず"あの人"を追い続ける千代子。
数々の作品を通して追い続ける彼女の姿が痛ましい。しかし、立花とカメラマンの存在がコミカルであるため、強い深刻さ、シリアス感は一瞬で払拭できます。
切り替えができず引きずる展開にならないので、とても重要な存在です。

立花の過去が千代子の過去に登場することで、彼女の歴史は一気にリアリティーを増します。
力強さを失わず、疾走感が継続されるのが凄い。秒単位の細かいクロスカッティングがとても効果的。
ミディアムショットやミディアムクロースアップでショットに緊迫感が出てくるのもいい演出です。

ラストシーンも、十分な満足感がある終わり方で、映画がとても短く感じられました。
カット回数自体は90分無い映画の割に細かく、991回でした。クロスカッティングが激しいので、正しいかどうかはご愛嬌ですが笑

非常に素早く、息つく間もない疾走感は見応え抜群。
アニメ映画の底力をまた一つ見せつけられました。
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