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アイ・アム・キューブリック!のHKのレビュー・感想・評価

3.0
タイトルだけ聞くとスタンリー・キューブリックのドキュメンタリーのようですが、実は1990年代のイギリスに出没した、自らキューブリックを名乗る詐欺師の物語。
ニセ者のキューブリックを演じるのは胡散臭さ全開のジョン・マルコビッチ。
日本では劇場未公開の犯罪コメディ。実話ベースです。かなり盛ってる感ありますが。

冒頭からロッシーニやベートーベン、R・シュトラウスにJ・シュトラウス、バッハなどお馴染みの曲に乗って見たようなシーンが次々に展開されるので、キューブリックの映画をある程度観ていれば、まあそこそこ楽しめます。
でもそれだけ・・・ですかね。

この詐欺師、みるからにアル中のゲイ、ファッションも独特でとてもキューブリクに見えませんが、この男がキューブリックと名乗ると、みんな態度を一変させます。
今は何を撮ってるんですか?という問いに「2030年~」とかテキトーなタイトルを答え、主演は?と聞かれると「ジョン・マルコビッチ・・・」

しかもキューブリックと名乗って何をするかと思えば、食事代を奢らせたり、VIPカードを忘れたとか言ってタバコ代をもらったりとやることがヒジョ~にセコイ。
騙された方も恥ずかしくて訴えないから捕まらない。
意外とみんなキューブリックの顔を知らないのか、というより、知らない人が引っかかるんでしょうね。

一度相手にカマをかけられ、『ニュールンベルグ裁判』(スタンリー・クレイマー監督)が良かったと言われ、あれは苦労したと言ってウソがバレたりとけっこうドジです。

しかし、私が知ってるだけでも、やはりニセのキューブリックが出る映画『ムーン・ウォーカーズ』、キューブリック絡みの都市伝説を扱った『ROOM237』や『キューブリックに魅せられた男』『キューブリックに愛された男』などのドキュメンタリー、撮影裏話が覗ける『ピーター・セラーズの愛し方』など、自分で撮った作品以外でこれだけネタになっている監督も珍しいんじゃないでしょうか。

クレジットにリュック・ベッソンの名をみつけましたが製作総指揮だそうです。
監督はキューブリックの元助監督、脚本はは元個人アシスタントだった人とか。
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