ねこ無双

ブラック・サバス/恐怖!三つの顔のねこ無双のレビュー・感想・評価

4.5
不定期更新、イタリアホラーの父、マリオ・バーヴァ祭り⑥

チェーホフ、トルストイ、モーパッサンそれぞれの原作を元に。
読んだ事は無い…。
ボリス・カーロフ introducing 恐怖と超常現象に関する3つの物語。

ブラックサバスって実在のロックバンドは、この映画から命名されたようです。豆知識。

1話目 電話(モーパッサン原作)

何度切ってもかかってくる電話の相手から殺人予告を受ける女。
脅迫者はなぜか部屋の中にいる彼女の姿を間近で見てるかのように言い当てる。
女は殺人者の訪れに怯えるのだが…

女性が住む部屋のインテリアがとにかくゴージャス。
演ずるミシェル・メルシェは口元ほくろにグラマラスとものすごい美女で、来ているドレスもセクシー。
彼女を観るだけでもいいかも。
どんでん返しありスリラー。
でも、これは私的には平均点。
きっとこの後のフォロワー映画をたくさん目にしてて、展開に慣れてるせいだと思う。

2話目 ヴルダラク(トルストイ原作)

ゴシックホラーが大好きな方は絶対この2話目を観るべき。
美術、映像、ストーリー、重厚なオーケストラスコア、全て魔法がかった魅力がある!
加えてボリス・カーロフの魔物感、凄み。
まるで死神みたい。
そして、まごう事なき美しき悲劇のヒロイン。
崩壊へ向かい争う事の出来ない運命、ラストまで素晴らしい。
青、黒、紫、緑の映像色彩マジック。
漆黒の夜を駆ける馬にまたがる男、
光に照らされたもやのかかった冬の森、
窓から覗く亡者たち、
吹き荒ぶ風の中佇む荘厳な廃墟。


3話目 水滴の音(チェーホフ原作)

降霊術の最中に突然死したその老婦人は、
何を見てしまったのか、かっと目を見開いたまま。
小間使いに呼ばれた看護婦がそっと手で目を閉じさせても、次にはまた見開いてしまう。
この形相が記憶に残る恐ろしい人相。
例えるなら梅図かずおによく出てくる顔みたいな。まさに顔圧の恐怖。

看護婦は死装束の支度をする途中で、老婦人の指輪を盗んでしまう。そこから始まる呪いの気配。
遠雷と、止むことのない水滴の音。

1話目は正統派スリラー、2話目は正統派ゴシックホラー、3話目はブラック風味なホラー。

どの話に出てくるヒロインも、とにかくグラマーで素晴らしい美貌、神秘的な魅力(3話目は除く)があるんですが、これはバーヴァさんの好みなのか、当時の流行りの女優さんなのか。
バーヴァ映画の女優さんって、いつもグラマラス美女なんだなぁ。

エピローグには、ボリスが笑いながらはりぼての馬に乗った姿で撮影風景を披露してくれるおまけつき。
この馬がデパートの屋上にある遊具のような足がついていて、微笑ましい。


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今作のねこ登場シーン🐈
3話目、荒れ果てた屋敷の中を何匹もの猫が、えんえん鳴きながら縦横無尽に歩いている。