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田舎司祭の日記のRのレビュー・感想・評価

田舎司祭の日記(1950年製作の映画)
3.6
若き田舎司祭が自分の教区内の誰とも心を通わせることができず、自らの信仰のために苦悩を重ね、ついには胃癌に冒されてしまい…というストーリーを始終ものすごく重苦しいテンションで描いた作品。ドラマ性を徹底的に排して、主人公が日記に綴る心情と、関わった人々との会話のみで展開していくストーリーは、眠気と同時に、かなりの苛立ちを感じさせる。とにかく、出てくるやつら誰しもが、主人公も含め、自らの世界に閉じこもって、自分の考えにしがみつき、他者を理解しようという気持ちをほとんど持っていない。しかも主人公は、自分に向けられた疑念や嫌悪などに対して何らかの対処をしようとするわけでもなく、ただ、神がどーだ、祈りがどーだ、とウジウジしているだけ。現実に何か変化を起こそうという気はなく、すべて受け身で、ただそんななか、分かってくれる人だけが分かってくれればいいと考えてるんやけど、誰も分かってくれなくて、ツラい、いや、これは試練、いやでもツラい、身体だるい、あ、ヒドいビョーキなってた、みたいな感じで、敬虔なキリスト教徒の陥る地獄そのものの体現者として描かれている。それを高尚と見るか、愚かさと見るか、その辺は冷たく突き放した演出により、どちらとも感じられるようになっている。個人的には、こいつはバカ真面目なだけでどーにもならんな、と笑。なかなかのイケメンやったからかわいそうではあったけど。これ見て思ったのは、やっぱ、楽しく生きるってのは大事だってこと。それがそのまま人間的魅力になるし、ユーモアがあれば難しい話でも人々は聞く耳を持つようになる。さらに、こちらが胸襟を開けば、相手もそうしてくれるし、こちらが相手をジャッジすることなく話を聞いてやれば、相手も話を聞いてくれる。つまり、この映画で描かれるのと逆をいけばかなりスムーズに物事が進んでいくんじゃないか、と。しかもこいつイケメンなんやから、それ使えよ!とかそんなことばっかを考えながら見てしまって、キャラやシーンや発言や演出に対して深く考察をする気が起こらなかった笑 ほんま、キリスト教の潔癖さにはついていかれへんわ。もっと楽にいこーや笑 それにしてもこれもほんまに点数つけにくい映画やなぁ。
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