ねこ無双

墓地裏の家のねこ無双のレビュー・感想・評価

墓地裏の家(1981年製作の映画)
5.0
4大都市限定で、
4Kレストア版のフルチとバーヴァの作品が公開されると知りました。
行きたい!けど観に行けない!
なんで我が町では上映されないの…
なんてこったい。
という事で猛烈に観たくなったので再見。

これは今観ても充分恐怖が味わえるホラー(と思う…)。
フルチ作品の中でもホラーファンには意外と評価低いんだ〜。私は凄く好きだけど。
だっていわくつきの家に墓地、マッドサイエンティスト、ゾンビにゴシック、さらに超能力って、なにそれ最高じゃないですか…。

オープニング、蜘蛛の巣だらけの廃屋でのショッカーシーンにまず惹きつけられる。
そして、教会で聞くような哀愁漂うエレクトーンの音色。

ニューヨークからボストンの田舎町へ美しい妻と幼い息子を連れたきた男。
曰く付きの死を選んだ前任者の研究を引き継ぐためやって来た。
前任者は、人体実験を好んだ19世紀の医師フロイトステイン博士を調査していた。

新しい住まいを「墓地裏の…」と言いかけて「緑の森の館」と言い直す不動産の担当者。
いや、それどう考えても事故物件ですやん。
墓地裏だし、ラグめくったら家の中にも墓石がある⁉︎
ここあたりの地域は死者が寒くないように家の中に墓を作ると言う…。
ほんとですか?それ…
火葬じゃないから臭いが凄そうだけど…。

そして、向こうの一軒家って絶対地下室ありますよね。鍵が錆びついて開かずの間の地下室。
向こうの方って、こんなホラー映画観たりしたら、地下室トラウマって起きないものなんでしょうか?

蝙蝠からのしつこい襲撃。
尖った棒で何度もしつこく刺される流血シーン。
中から溢れ出すうじ血。
口から飛び出るナイフ。
階段の段差落ちする顔。
子供目線の恐怖を感じさせるショット。
すんでのところぎりぎり攻めるスリラーでハラハラも。
怪奇の実態がなかなかはっきり見えないチラリズム。
そしてやっぱり斧。

ショッカーシーンがえげつないイメージがずっとあったのに、今観るとそれは控えめでスリラー描写が際立って感じられる。
怪奇の正体も今観るとあれだし、登場人物がツッコミを忘れたツッコミ芸人みたいなシーンもあるけれど。

ショッカーだけではなく、ゴシックなムードの恐怖シーンもあり、最後まで静かな迷宮に囚われたような素晴らしいエンディング。
私はこのエンディング好みです。