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命の相続人のNMのレビュー・感想・評価

命の相続人(2008年製作の映画)
3.0
疼痛科医師のディエゴは、
長年病院に勤め、苦しむ患者をみるうち、
治療にだけ専念し患者に深入りしない、
ドライな性格になった。
関係の冷えた妻とはついに別居、
年頃の娘は色々と奔放。

ある日ディエゴが帰宅しようとすると、
その日急患で運ばれて来た
意識不明女性の、
付き添ってきた男アルマンが、
ディエゴの前に立ちはだかり、
銃を向けた……。

全体に重く深刻な空気。

しかし、
妻と別居し、銃撃された後は、
色んな物事が好転し始める。

ドライな男が優しい心を取り戻す
ハートフルストーリーかな?

と、思いきや、
どうも何かがおかしい。

なぜアルマンは彼女になにもできなかった?
そしてディエゴも父に何もできない。
さらに娘にも異常が。
なぜ?
後半はその恐ろしい謎が明らかになる。

彼は偶然特殊能力を手に入れた
幸運な男ではなかった。
重大な任務を託され、究極の選択を迫られる。

自分ならどうするか考えてみたが、
やはり彼と同じ選択をするだろう。
なにしろ選択肢は一つしかないのだ。
アルマンも「あの女の子」も、
苦しみ抜いて、
自分よりも愛する者を生かした。

彼以外も、
自分では運命を選べず、
ただ受け入れるしかない、という人物が多い。
選択肢がなければ、悩むことはできない。
できるのはただ嘆くことぐらい。

だから、悩むことができるということは、
実は幸せなこととも言える。
しかしその幸せに気づくことは、難しい。

メモ
ヒポクラテスの誓い……
(英語: The Hippocratic Oath、
古代ギリシア語: Ἱπποκράτειος ὄρκος)
医師の倫理・任務などについての、
ギリシア神への宣誓文。
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