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『ブロークン・ジェネレーション/撲殺!射殺!極限の暴力少年たち』に投稿された感想・評価

4.0
 片田舎の高校では同級生たちが大学へと進学し、各々の夢に進む中、落ちこぼれで問題児のボー(チャーリー・シーン)とロイ(マックスウェル・コールフィールド)には輝かしい未来など何一つない。何の知識も才能も未来への夢もない彼らにはこの町に残って工場に50年勤めるだけの退屈な未来しか残されていない。チョーク・アウトラインを引きながら、高校教師をおちょくるばかりの悪ガキコンビに同級生も教師たちも半ば呆れている。クラスのマドンナには嫌悪され、当然、卒業パーティにも呼ばれることのないはみ出し者たちはイカれた来訪者となり、ひたすら顰蹙を買うばかりだ。このまま将来に何の疑問も持たず、労働者としてのレールに乗っかれるような若者ならば楽だろうが、2人は「ここではないどこか」を夢見ながら、心底不似合いなプリムス・ロードランナーに乗り、一路ハリウッドへと現実逃避の旅に出る。デヴィッド・バーコウィックにエルマー・ウェイン・ヘンリー、そして悪名高きケネス・ビアンキ。世界を震撼させたシリアル・キラーの肖像を並べながら、あたかもその次に彼らを並べる挑発的な冒頭部分から、チョーク・アウトラインを引く場面へと転換するのだが、今作には最初から死の匂いが充満している。卒業旅行というにはあまりにも浅はかで短絡的な旅は2人のロード・ムーヴィーともなるのだが、ハリウッドに向かう途中で立ち寄ったガソリン・スタンドで1つ目の凶行を引き起こすのだ。

 若者の無軌道で無秩序でむき出しの暴力を描いた今作は信じられないことにペネロープ・スフィーリスという女流監督が監督している。彼女は後にサタデー・ナイト・ライブのマイク・マイヤーズとダナ・カーヴィによる『ウェインズ・ワールド』という大ヒットを飛ばしている。今作は主演を務めたチャーリー・シーンの父親であるマーティン・シーンが試写会の途中で席を立ったという逸話があまりにも有名で、今なら発禁処分も間違いなしの過激な内容だ。そのあまりにもショッキングな出来は監督自身にも今作を撮ったことを後悔させ、映画を心から恥じているという。当時私はVHSで観たことを強烈に記憶しているのだが、今回再見しても若者たちの倫理観の破綻した暴力の数々は陰惨で、やたら印象に残る。白シャツにジーンズ姿のボーはどこかジェームズ・ディーンを彷彿とさせるような労働者階級の男の子で、一際ナイーブで女にも惚れやすい。その一方でロイはこの旅で抑えていた暴力衝動を徐々に開花させて行く。何せ卒業式にやって来た海兵隊の勧誘に参加した少年は人が合法的に殺せるからという理由で本気で海兵になろうとし、現役隊員に不気味がられる。ロイには父がいるものの、彼はブラウン管TVのモニターをずっと眺めながら、息子の皮肉に反論する素振りもない。その様子は明らかにヴェトナム帰りでPTSDを患っている。祖国に戻り、すっかり抜け殻となった男の息子に滾る衝動は殺人の快楽に他ならない。

 84年当時の退廃的なLAカルチャーの闇を描き出すような夜の描写が、とにかく猥雑で凄まじい。抑圧しようとすればするほど、彼らの姿はネオンライトの奥へと忽然と消え行く。片田舎から逃げて来たドブネズミたちにとって、ラスベガスのネオンもLAのカラッと晴れた陽気な街並みもちっとも魅力的には映らないのだ。ピンヒールを履きこなすブロンド美女を手籠めにするようなブルジョワジーの男への嫌悪、そして占い師には見通せたロイのサディスティックな視線は、実は順序云々ではない少年の秘めたる欲望を浮かび上がらせる。クライマックスのショッピングモールは、物質消費社会に汚染された若者たちを嘲笑うかのように存在する。冒頭からラストまで一つも無駄な場面のない完璧な映画で、ペネロープ・スフィーリスが今作を恥じる理由がどこにも見当たらない。確かに今の基準では100%アウトな映画だが、40年前のハリウッドの精神性を考えれば、B級映画でこれだけの絶望を知らしめた白人男性社会への痛烈な風刺には目を見張るものがある。トランプ前大統領の岩盤支持者となったラストベルトの住人もここまで極端ではないものの、アメリカに生まれ国を愛しながらしみったれた工場で働き、国に見放された悲しい白人たちだ。今では時代を先取りした忘れ得ぬ名作である。
riekon
3.0
高校卒業して
この先工場で30年間勤めるのか…🏭
夢も楽しみもないふたりがLAへ🚗
(着替えてくればいいのに)
遊びに来たのか殺しに来たのか😂
バーは沢山あるだろうに
ゲイバーに入っちゃうふたり😂
ボーが楽しんでいるのに
ロイ何かが爆発したの?怖いわ😱
あっさり終わるかと思ったけど
ちょっと盛り上がった
ボンボンはお姉さんに拾われたかな〜😄
4.8
80年代中盤アメリカが産んだ、知る人ぞ知る超傑作アナーキー映画。偶然回ってきたブラジルのXアカウントの紹介ポストで気になって観た作品がこんなド傑作って、Xも捨てたもんじゃない。

社会人デビュー前夜の若者二人の放蕩ロードムービーと言うとありがちだけど、本作はとにかくテーマ性に対する奥行きがある。二人とも外見上は結構イケてそうな若い白人男子だけど、アメリカ郊外に住む中〜下層の労働者階級という閉塞環境下に生きるからかアナーキーな思考があって、そんな彼らが殺人の対象とするのは、都会のイケてるカップルのような強者、はたまた女性やゲイ男性、移民系の人々といった弱者まで幅広い。

90分映画の中でそうした対象と白人労働者階級の鬱屈を常に相対化して描いているから、彼らが殺人トリップを繰り返すたびにアメリカ社会の人々の暗部が浮かび上がっていく。めっちゃすごい。それでいて、スタントを使ったカーアクションからドンパチシーンまである上に、ザ・クランプスやイギー・ポップといった時代性全開の音楽使いもやたら決まっていて、エンタメ性まで半端ない。こんなに非が無い反社映画があってたまるか。90分映画がこんな濃密でいいのか。

というか何が凄いってこれ、1985年の映画。1985年の映画で、典型的な白人男性を持ち上げるどころか、その中で分断されて弱者と化した主人公たちと、さらに相対化される多様なバックグラウンドの被害者たち、その全員に等しく同情してしまう。この手のテーマなのに不快でもなんでもない、ただただ、どの立場でも苦しく、怒りも憎悪も人より社会構造に向く。本当に1985年の映画なの??????

一応4年前に日本でも発掘公開されたみたいだけど、宣伝文句があまりに人を選ぶし探さないと見つからない代物にとどまりすぎてるので、配給会社(キングレコード)はもっと頑張れマジで出資する。「死ぬまでにこれは観ろ!」案件はやはり強いが、サブカルオタク向けに止めるには案の定勿体無い作品も多いな。いやサブカル映画好きだから刺さってるのかもしれないが……。

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