このレビューはネタバレを含みます
ロボットが人間と触れ合う中で、人間らしい心を持つようになる。人間でありたいと願うようになる。
ここまではよくある話だ。
この物語はそこからさらに一歩踏み込んでいる。
主人公のロボット・アンドリューは、やがて、ある女性を愛するようになる。しかし、人間社会において、ロボットと人間が愛し合うことはもちろん、結婚することは禁じられている。すなわち、愛する女と一緒になるためには、社会から人間であることを認められなくてはならない。そのために、アンドリューは、人間として死ぬ道を選ぶのである。
これこそ、まさに究極の愛の形と言えるのではないか。
人間以上に人間らしい心を持ったロボットの、愛の物語は、あまりにも美しすぎて、心の汚れた人間たちへの当て付けのようにさえ思える。
いや、実際、これは、人間社会に対する痛烈な皮肉だったのではないか。
少なくとも、私はこのロボット以上に美しい心を持った人間に会ったことなどない。