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カラフルのRのレビュー・感想・評価

カラフル(2010年製作の映画)
4.0
めちゃくちゃ久しぶりに見てみた! 昔見たときは号泣してすげーイイ映画! と思ったけど、いま見ると、余計なことをいろいろ考えさせられてしまって、感情移入しにくかった。とはいえ、この映画に感動する人が多いのも、過去の自分が感動したのも、ぜんぜん分かります。まず、冒頭、冥土への入り口で、ラッキーなあなたに、もう一度チャンスが与えられました! いまはあなたの記憶から消えている、あなたが現世で生きてるときに犯した罪を、修行して思い出すことができたら、また輪廻転生できるようになりまーす! 猶予は半年! と告げられ、プラプラという天の使いに連れられて、小林マコトという自殺未遂した男子中学生の身体に魂を入れられてしまう。一体、小林真とは何者なのか? そして生前に自分が犯した罪とは何なのか? と最初は疑問に思う主人公も、プラプラからマコトの家族事情を聞かされてうんざり。父は出世できないまま残業ばかりのしがないサラリーマン。母はフラメンコの先生と不倫してた。兄は口をきかずムスッとひたすら受験勉強。そんな家にいるのが耐えれなくて、学校に行ったら、マコトはいじめられっ子で、友だちは一人もおらず、美術部ではキモい女子に付きまとわれて、気になる女子はおっさんと援交してる。何もかもやる気を失ったマコトは、もう修行なんかどうでもいいから、テキトーに楽しんでしまえ!と自暴自棄になってしまう。という話で、そこからマコトがどういうプロセスを経て人生を再起していくかを、あたたかく深い優しさをもって描いている。この映画を見る大多数であろうと想定される子どもたちにも、しっかりきっちりメッセージが伝わるように、ものすごく丁寧な心理描写が続く。それが1回目見たときにはすごく良く感じたのだが、今回見たときは、さすがにちょっと言葉での説明が多すぎやなーと気になった。特に食卓の鍋を囲って、みんながみんな順番に自分たちの思いを口にしていくとこは、んーーーー。ビミョーーーー。お母さんの目線とゆずの演出、ちょっとしつこかったかなー。お母さん含め、全体的にステレオティピカルな女性のキャラクター演出が、どーにもこーにも気に食わなかった。ちょっとくらいは悪意があるのでは?って言いたくなる。とりわけひろかは、裏のある天然不思議ちゃんキャラなのがいけすかない。彼女のカラフルの締めも含め、ぜんぜんいいとこなくないですか? 誰もかれも、男子の妄想する女性像って感じが強すぎる。あと、他のクラスメートたちが、完全に悪一色。まったく嫌なやつしかいない。もちろんそういうところもほんまにあるんやろうけど、タイトルになってるカラフル感はゼロ😅 ひとり、早乙女くんだけが悪くなかった。良い人に振りすぎてる嫌いがないことはないけど、まぁ、彼みたいな馬鹿正直はそこそこあり得る。そして、家族の鍋のシーンの、早乙女くんゆえに流れる涙は、今回見たときも涙ポロポロポロポロ。それまでにちょいちょい感じてた不満がぜんぶ浄化されてしまいそうなくらい良かった。そして、すべてのミステリーの真実が明らかになるラストシーン……何だかなぁ……それまでにも何度か感じる、上手にお説教されてるみたいな雰囲気……いや、すごく感動的ではあるんすけど……ここ数年の間に心が捻じ曲がってしまったのでしょうか🤔 最後の、時をかける少女とかのび太の鉄人兵団に通ずる切なさはすごくいいんやけど。ごめんなさい、ホント文句ばっかになってしまってるけど、最後にもうひとつだけ。全体的に音楽ちょっとうるさすぎた。カラフルにしたいのかもしれんけど、もうちょっとグレーな雰囲気もあった方が効果的なのでは、と思ってしまった。知らんけど。いや、すごくいい映画なんです。星も4つやし。けど、いい映画だからこそ、そうでないとこが目立ってしまう気がしちゃったのです。マジで。おそらくこの映画は、今回の4回目の鑑賞が最後となるでしょう。ほんまにいい映画なんやけど……好きになる人のほうが絶対多いと思うので、是非多くの人に見てみてもらいたいです。
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