ねこ無双

マッキラーのねこ無双のレビュー・感想・評価

マッキラー(1972年製作の映画)
4.3
南イタリアの田舎の迷信深い村で次々と起こる少年ばかり狙った連続殺人。
警察総出で捜査するもなかなか捕まらない犯人。
村人の疑心暗鬼は高まりを見せ、そのヒステリックな感情が牙を剥く。
フーダニットミステリーとなっているけど、残忍ホラー的な描写もあります。

二人の謎めいた美女がキーパーソンとなっていて…。
一人目はドラッグ絡みでこの地へ流れ着いた資産家の娘。部屋で素っ裸で日焼けマシンで肌焼いてたりして、子供も素っ裸で誘惑しちゃう(というかからかってるだけ)。
二人目は村の呪術師と共に暮らす女。冒頭から呪術っぼい土粘土人形に針刺してるヤバイやつ。

この映画でよく取り上げられるのが村人によるリンチシーン。
ここはフルチらしさと言っていいのか?熱のこもったテンションへ。
それまでは管楽器を使ったのどかな背景音楽だったのが、ある男がかけた車のラジオからは大音量の大衆音楽。まるでこれからショータイムだよ!と言わんばかり。
村の集団憎悪があらわになる残忍なシーンが展開される。

そして待ってましたの崖転落シーン。
崖に顔をガリガリ削られる過程をしっかりスローモーションで見せていく力の入りよう。
そこら辺の特殊効果は、転落した途端にそれはダミー人形に置き換わってしまうところにその時代を感じるというか…そこもまた面白かったです。
この場面になぜか叙情み溢れる音楽を合わせてる…ここもまた変なテンション。

子供惨殺はホラーでもあまり見られない表現だと思いますが、この映画は違ったりします(確か現場のみだったとは思うけど)

イタリア地方の真っ白い建物、階段で埋め尽くされた村の景色に白い岩壁の山。
とロケーションも見応えある映画でした。

『荒野の処刑』のジャケ写で主役でもないのにどどんと中央を飾った男、トーマス・ミリガンも出演。
今回は悪役じゃなく、人間味を感じさせる事件記者という役。
ネタバレだから誰とは書かないけど、終盤タッグを組んで事件を捜査する人とも息ぴったりで、とてもよかったです。

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🐾自分Memo
マッキラー/フロリンダ・ボルカン
都会から来た女/バーバラ・ブーシェ
神父さま/マルク・ポレル
神父さまのお母様/イレーネ・パパス
記者/トーマス・ミリアン