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幸せなひとりぼっちのwigglingのレビュー・感想・評価

幸せなひとりぼっち(2015年製作の映画)
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多くの方が指摘するように『グラン・トリノ』インスパイアなプロット。それでもというか、だからというか、北欧テイストも相まって観応えのある作品でした。

高齢化が進むご時世のせいか、こういうお話に共感が集まる傾向なんですかね。客層も心なしか年齢高めだったような。

自分が好きだったのは、人間関係の一様でなさがしっかり描けていること。
オーヴェのような偏屈なジジイとは死んでも相容れない人はやっぱりいて、それはそれでちゃんと容認している。みんなが笑顔でハッピーエンドなんて嘘っぱちだしね。

それから21世紀の最重要課題ともいえる多様性への向き合い方も。門を閉ざして昔に戻ろうという世界的潮流に対するカウンターを意識して作っていると思ったな。

それにしても奥さんのソーニャが素敵すぎでしょ。天使ですかと。こんな奥さんを失ってしまったらその失意は大変なものだろうし、立ち直れなくても無理はないと思う。

こういう偏屈ジジイは地方に行くと掃いて捨てるほどいますが、本作を観た後は少し優しい目で彼らを見れるようになるかもしれません。
彼らの中で時間は止まってて、外部からの力がなければ再び流れ出すことはない。本作のイラン人家族のように全く違う文化圏発の空気読めない力のようなものが必要なのでしょう。
そういえば『グラン・トリノ』で同じ役割だったのはモン族の少年でしたね。

サーブ派とボルボ派の戦いがちょっと面白かったな。同じスウェーデンのクルマなのにまるで宗教戦争のような様相。クルマ嫌い的にはクソミソな差でしかないけど、そういう世界もあるのかと。
それと猫。猫が出てれば評価1割増しで褒めてしまう自分です。
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