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ロイ・コルト&ウィンチェスター・ジャックのhorahukiのレビュー・感想・評価

3.5
ロイコルトvsウィンチェスタージャック!
別々の道へ進むことを決めた親友のコルトとジャック。数年後、ジャックは盗賊団を率いるボスとして手下を束ね、コルトは保安官に任命される。そして街の権力者は、ジャック率いる盗賊団の殲滅をコルトに命令するが…

巨匠マリオバーヴァ監督によるマカロニウエスタン。マカロニウエスタンどころか、普通の西部劇すらまともに見たことないので良し悪しが良くわかりませんが、私的にはめちゃくちゃ面白かった。批評的にはボロクソのようですがね(^_^;)

アート寄りな美しい映像表現やスリリングなサスペンス演出において神がかった才能を見せつけてきたマリオバーヴァ監督ですが、本作ではコメディにおける才能を見せつけてくれました。この人コメディまで撮れるとは…。

軽快で楽しいサントラをバックに男同士の泥臭い殴り合いからスタートする本作。この2人が主人公のコルトとジャックなんだけど、殴り合いをしつつも2人の男臭い熱い絆を感じさせる素晴らしいシーンになっている。

酒場でガヤガヤしてる中で、突然やってきた男の怒号とともに、その矛先となる人物へと急激にズームインする演出がバーヴァらしいし、銃で両脇に抱える松葉杖を交互に撃ちながらひれ伏させるコミカルさが笑える。

ジャックとマニラのエロをかけたアホらしさ抜群のコメディシーンも大好き。ジャックがマニラに迫ろうと抱きつくとマニラが隙を見て銃を奪いジャックに突きつけ、階下にある水風呂へと沈めようとする。ここに至るまでに目線の動き等マニラの裏切りを予感させる演出が続いたため、観客側としたらジャックの危機と捉えてしまうのですが、たった一箇所、「マニラがジャックの匂いを嗅ぐ」というシーンを挿入することで緊張感を帯びたシーンが一気にコメディへと変貌する演出の巧みさが最高でした。体が臭かったから、ただ風呂に入れさせたかっただけというアホらしさ(笑)

盗賊として馬車を襲い金を稼ぐジャックと、そういった輩から金を護衛するコルト。この2人の久々の再会シーンが互いへの敬意を感じさせる良いシーンになっていたし、その後の展開を感じさせる目線の演出も印象的。そして外堀が埋められ親友同士の直接対決へと収束して行く物語は激アツ。アホらしさ満点のコメディパートとのメリハリが効いていて、どんなバトルを繰り広げるのかと期待させといてから、大きく逸れていく後半の肩透かし感がハンパない(笑)まぁバトルには間違いなかったんだけどね…。

メインのキャラクターたちはそれぞれみんな利己的なクソ野郎たちなんです。でも人間ってみんな少なからずそんなもんで、どんだけ酷いことされてもそういうところ全部含めてこいつらお互いのことが大好きなんだろうな〜と感じさせる温かい作品であるように感じました。

ちなみに主人公2人の名前は銃の名前から取ってるようですね。持ってる銃がそれぞれ名前通りなのかは私の知識不足で全くわかりませんでしたが。

正直出来の良い作品ではないし、あまりにも酷かった脚本をバーヴァ監督がコメディ方面に振り切ったことでカバーした作品なので、傑作なんて出来る状況ではなかったのだろうと思いますが、それでもここまで完成させるバーヴァ監督はさすがとしか言いようがないです。
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