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ラスト・ハウス・オン・ザ・レフト -鮮血の美学-のhorahukiのレビュー・感想・評価

3.4
ショーンSカニンガム製作、ウェスクレイヴン監督『鮮血の美学』のリメイク作。大筋はほぼ同じ(リメイクだから当たり前ですね笑)ですが、力を入れてるところがオリジナルと違っていてこちらも面白かったです。

あらすじ…
休暇を利用して別荘に遊びに来たコリンウッド一家。娘のメアリーが、近場に住んでる友人に久々に会いにその友人のバイト先に行くと、彼女たちと同年代くらいの男の子がやってきて、マリファナをあげるからタバコと交換してほしいと言う。マリファナを受け取りに男の子が滞在しているモーテルへと連れて行かれるメアリーたちだったが…。

どーでも良いけど、マリファナに釣られて知らん男にホイホイついてっちゃうアホな主人公たちは何なんやろね…(^_^;)

本作の見どころは何と言ってもホームインベージョンスリラー的なハラハラ感満載の後半の展開!とある二勢力が家の中で激突するわけですが、凶器を持った生身の人間同士が相手を殺そうと家中を恐る恐る探し回る緊張感。主人公サイドは守るものを同じ空間内に抱えてるが故に、一歩間違えれば特大の絶望が背後に待ち構えている。表面上はやるかやられるかの関係で拮抗してる両陣営ですが、完全なる悪として描かれる敵側との対比で主人公サイドは非常に脆く感じてしまう。それがハラハラを加速する。

オリジナルの『鮮血の美学』はホラー映画史に残る胸糞映画なわけですが、こちらは胸糞成分は抑えめで後半のスリリングさや単純な面白さを重視してる印象。よく言えば堅実なんだけど、悪く言えば無個性。オリジナルは映画的クオリティとか完全無視で、生の映像を見せられてるかのようなザラザラとした質感と素人くさいカメラワークによる無骨な映像が嫌〜な空気感を醸し出してたわけです。本作は小綺麗なんですよね。

監禁状態における緩急のつけ方もオリジナルの方が丁寧で、本作は助かる?助からない?的なスリリングさがほとんど感じられない。画面の中で行われてることは惨いことなんだけど、泥臭さとか主人公たちの必死さがあまりあまり描かれておらず、胸糞をそれほど感じない。

そして何より、圧倒的理不尽な暴力に対する嫌悪感と、その暴力がどこにでもいる普通の人間を化物へと変貌させてしまう「暴力の連鎖」による虚しさを描いたオリジナルと比べると本作は普通のリベンジムービーに成り下がってしまっていて、これを『鮮血の美学』の名で製作する必然性を感じませんでした。ウェスクレイヴンは『サランドラ』でも共通して同様のことを描いていたわけだし、そこのところを履き違えてるのが残念ですね。

そんな感じで色々思うところはありましたが、リベンジムービーとしては素直に楽しめる作品で面白かったです!特にクライマックスはテレビ画面をまともに見れないくらいハラハラしました。
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