140字プロレス鶴見辰吾ジラ

巨神兵東京に現わるの140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

巨神兵東京に現わる(2012年製作の映画)
4.5
恐怖こそが神であり
畏敬の念が我々を跪かせる
圧倒的な火が希望も絶望すら焼き尽くす
神が世界を7日で創造したならば
神が世界を7日で焼き尽くす様も
また尊きことなのか…


林原めぐみのボソボソとした日常に疲弊したような”哀”を纏ったセリフ。オカルト紛いな予兆がSNSという現代の日常に溶け込んだギミックを媒介として矢継ぎ早に流れていく。背景は絶対的な大都会の中で常にそこにあり続ける電車の到着を告げる音声と発車音。いよいよオカルト話しも佳境に差し掛かる中、馬鹿馬鹿しくあるその話の結末とともに大都会の空を覆う存在が顕在化する。犬が異変に吼えたてることがどれだけ無なのかを象徴するように降り立つ巨神兵。神を名乗るにはあまりにおどろおどろしい造形美は、我々が描いた神の造形とはかけ離れていようがその佇まいからどうしようもなく信仰を引き出さんとする。しかしその機械的な奇怪さにその感情を必死に蓋をさせようとする。

そして時を告げるように始まる
破壊、破壊、破壊、破壊、破壊、破壊、破壊、破壊、破壊、破壊、破壊、破壊、破壊、破壊、破壊、

大都市を横切る閃光の後に絶望に気付かされたように吹き上がる爆炎。遠くで高層ビルが焼き払われ、近くで馴染みある下町が炎に消し飛ばされる。

あまりに絶望的な爆炎、終わりなき閃光と繰り返し繰り返し大都市を蹂躙する爆炎。

建物が爆散するスローモーションカットの中に爆炎とともに吹き飛んでいく残骸の無造作ながら美しく飛び散る様がこの上なく心を震わせる。これが見たかった!この破壊と爆散する存在の破滅をジオラマではあるが恐怖と趣きをもって琴線すら断ち切らんばかりの恐怖と畏敬を届けてくれる。慈悲すら微塵も感じさせないほどの炎の蹂躙が心地よいまでに感じるのは、このフィクションを現実という日常の殻の中で俯瞰できる特権なのだと感じた。

しかし、だからこそ特撮のなし得るこの高揚感に何度も浸りたいのだと思う。



でもやり過ぎですわ…
多数で迫るのは良くないですわ…
生き残れないですやん…