戦闘機

廃墟と化した戦後のベルリンを舞台に、プレイボーイなアメリカ人将校の恋のさやあてを描く

マレーネ・デートリッヒの歌
そしてセクシーさが溢れてました

白黒
街並みがなんとも

雰囲気が良かった

ナチスの面影もあり

終戦直後のベルリンに向かった米国女性議員フロスト（ジーン・アーサー）は風紀の乱れに驚き、プリングル大尉（ジョン・ランド）に調査の協力を求めるが、彼もまたドイツ女性エリカ（マレーネ・ディートリヒ）を愛人にしていた。しかし、やがてフロストはプリングルに惹かれ始める。

アラフィフ女子2人が10も年下の男を取り合う話。
でも、その2人がマレーネ・ディートリヒとジーン・アーサーときてるから、すごい迫力だ。

序盤はコメディ色が強くて、特にジーン・アーサーが年は取ったけど、フランク・キャプラ作品で鍛えた知性と笑いを存分に見せてくれる。

ところが終盤、一気に雰囲気が変わって、ドロドロとした三角関係の沼にハマっていく。
ナチスやロシア兵を相手に瓦礫の街を生き抜いたデートリヒと、生活指導しにやって来たジーン・アーサーじゃ勝負にならない。笑
デートリヒの圧倒的貫禄勝ちなんだけど、さすがにビリー・ワイルダーのコメディは、しっかり落ちるところに落としてくれる。
名バイプレイヤー、ミラード・ミッチェルのしたり顔のラストは最高だ。

それにしてもジョン・ランドのダメ男ぶりは共感の余地がなく、女性2人の引き立て役にすらなってなかった。

そして、浮かれるアメリカ人と、彼らを頼り利用するドイツ人たち。戦争直後は日本と全く同じだったんだなとしみじみ。
戦後ベルリンの混乱と淫靡な雰囲気を存分に利用した、ワイルダー監督はお見事だった。

第二次世界大戦後の荒廃したベルリン。占拠しているアメリカ軍の風紀を調査するために母国から派遣されてきた議員のフィービー。現地のプリングル大尉は、かつてナチの重要人物の愛人だったキャバレー歌手のエリカを保護していたが、それをフィービーに悟られまいとあえて彼女を口説き始めるのだが…。

大好きなビリー・ワイルダー監督作。荒れたベルリンの地を舞台にした１本ですが、監督はかつてナチスの台頭により命の危険にさらされ、ドイツからアメリカに亡命してきた過去を持つユダヤ人。お母様をアウシュビッツで亡くされています。そんな背景を鑑みながら鑑賞すると、コメディ作品ではあるものの、あえて監督が戦後のドイツを舞台に選んだ意味合いを考えさせられます。
戦勝国であることから浮かれ倒し、堕落してしまったアメリカ軍と、敗戦国ながらたくましく戦後の世界を生きるドイツの人々。この対比が本作の重要なエッセンスになっていて、後者の生き方を体現するキャラクターのエリカ役をマレーネ・ディートリッヒが好演。マレーネ自身もまた激動の人生を乗り越えて来た人物。まさに芯を持って強く生きる女性像がぴったりでした。
そんな彼女と対立するおカタいアメリカ人議員を演じたのは、ジーン・アーサー。気がたるんだ米兵たちを叱責する役回りですが、彼女の姿からも戦後社会の新たな在り方が垣間見えた気が。戦時中は男性を陰で支えた女性たちが今度は本格的に社会進出、世の中を変えていく…。おしゃれには疎いけれど、真の正義を求めて奮闘するフィービーの姿はまさに新しい時代のキャリアウーマン！

...と時代背景は複雑ながら、実際のストーリーはこの２人の女性とアメリカ人大尉との三角関係。ワイルダー監督ならではのクスッと笑える脚本は本作でも健在、最後までゆる～く楽しめました！
オフィスでのフィービーとプリングルの学園ドラマさながらの胸キュンシーン（笑）や、野暮ったいフィービーのパーティーでの変身ぶりなど、楽しいシーンの連続。流石のワイルダー節！！