ハマジン

悪の力のハマジンのレビュー・感想・評価

悪の力(1948年製作の映画)
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ウォール街のビル群にはさまれたトリニティチャーチの黒々とした質感が不吉な冒頭の俯瞰ショットからしてすでにただ事ではなく、扉を次々と開けながら金庫へ至るジョン・ガーフィールドのすばやい動作含め、画面の連鎖だけで映画全体の主題を簡潔に語りきってしまう手腕にシビれまくる。
特に「扉」をめぐるサスペンスの数々がすさまじく、文字通りにも比喩的にも「出て行こうとする」人間は例外なく惨たらしい末路をむかえる、という映画的規則の冷徹さに震え上がる。鉄橋の下の川岸にゴミのように捨てられた死体へ至るにもかかわらず、空間だけは広々と開放されていくラストの異様なカタルシスもすごい。

あと、ジョン・ガーフィールドの映画的「顔」の系譜を受け継いでる俳優、現代だとファン・ジョンミンだと思うんですがいかがでしょ~か。
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