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火星人地球大襲撃のhorahukiのレビュー・感想・評価

火星人地球大襲撃(1967年製作の映画)
4.2
地下から発見された骸骨と不発弾状の物体。
500万年前のものと推定されるソレらは人類が決して知るべきではない重大な秘密への鍵だった…。

このシリーズ面白すぎる!!
これほど厨二心をくすぐる映画もなかなかないんじゃないですかね。ちなみにハマーフィルムによる『quatermass』シリーズ3作目で今のところ最終作です。そしてシリーズ初のカラー作品。

あらすじ…
地下鉄を通すために地下を掘り進めていると骸骨が何体も発見された。その骸骨は500万年前のものと推定され、頭が異常に盛り上がっており人間とは明らかに違っていた。そして同じ場所から宇宙船のような形状の物体が発見され、3千度で焼いても熱くすらならず、触ると冷たくもないのに凍傷になる。さらにはダイヤを砕くドリルでも傷一つつかない。主人公のクォーターマス教授たちが独自に調査を進めるうちに驚くべき真相判明し…。

前作、前々作のサイコーにテンション上がった冒頭の演出は本作では見られませんが、秘密が明らかになるにつれジワジワとギアが入っていく抑えめながらも堅実な語り口で引き込んでいく本作の展開のさせ方も好き。

地下から骸骨が発見された!という殺人事件でもあったのか?と思わせるミステリチックで現実的な出だしから、その骸骨は500万年前のものであり、さらにはその時代には絶対にあり得ない宇宙船のような物体が見つかるというように現実から少しずつ大胆に逸脱していく流れがワクワクするし、40年前、200年前、400年前にそれぞれ起こった奇妙な事件や3万年前の壁画との関連性から恐ろしく壮大な謎が明かされていくというロマンある厨二全開な展開がツボど真ん中。ただ、前2作で楽曲を担当したジェームズバーナードが本作では不在なのが惜しい!

地下鉄構内という狭苦しい場所で徐々に真相に迫っていく前半から中盤に対し、後半では一気に物語の規模が大きくなる。今となっては目新しいネタというわけでもないけど、心霊現象や魔女といったものまで一緒くたにして説明付けようとする強引さは嫌いじゃないです。

水面下で迫る戦争の危機が情報統制により隠蔽されてしまう危険性や、無表情で無関心な大衆が国を滅ぼすという危機感を根底に置いてるのは前作と同様。そして太古の昔から人類の中で変わらずに眠り続けるものとは何か。人間の本能として存在し、決して逃れることのできないある種の呪い。そういった観念的な対立構造をラストバトルに持ってきたセンスも良いし、そんな現実的なテーマをこんなぶっ飛んだロマンの塊のようなSFストーリーの中でやっちゃう大胆さがそもそも素晴らしい。

私はどちらかというと前作の方が好きですが、見てる時のワクワク感は本作の方が圧倒的でした。『quatermass』のテレビドラマって日本では見る方法ないのかな。こんな面白いんだったらドラマの方も見たい!
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