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火星人地球大襲撃のMOCOのレビュー・感想・評価

火星人地球大襲撃(1967年製作の映画)
4.0
 「人類の記憶の深層にある我々の古い友達、・・・さんざん使い古された名前だが・・・火星人だろうか」

 火星人が太古に仕掛けた地球侵略作戦が火星人不在の現代に実行される面白い作品です。


 ロンドンの地下鉄ホップズ駅の線路延長工事現場の土の中から人類の歴史を大きく変える頭蓋骨が異様に大きい500万年前の人骨が6体掘り起こされます。
 ロニー博士とミス・ジャッドは地下鉄工事延期を目的に現場に報道陣を入れ公式ではない記者会見をはじめます。
 その最中、同じ土の中に巨大な物体があることがわかり、政府のクォーターマス教授のチームが調査に乗り出すのですが同時にブリーン大佐も参加します。

 現場周辺は昔から騒音があり「何かを見た」と話題になる地区でそれが原因でいまは一帯が廃屋になっています。

 掘り起こされた宇宙船のような物体は金属ではない未知の物質で傷をつけることすら出来ません。内側の一部は同じ素材で仕切られそこに何かが隠されているようです。

 クォーターマス教授は説明できない現象が起きていることから物体に触れることを禁じるのですが、留守の間にブリーン大佐の指示で作業は継続され、ドリルが使用されるのですが歯が立ちませんでした。しかしそれが刺激になったのか突然仕切りが壊れ大人の腰まで位のイナゴのような姿をした異星人の死体が3体発見されます。

「人類の記憶の深層にある我々の古い友達、今は生物はいないが大昔はいたかもしれない場所、さんざん使い古された名前だが・・・火星人だろうか」と二人は疑問を持ちます。

 クォーターマス教授は現場付近に集まる報道陣や住民を沈めるため宇宙船の発掘と古代人の復元モデル写真を新聞発表するのですが政府は否定して翌日報道陣に現場公開する発表をします。
 クォーターマス教授、ロニー博士は500万年も前に火星人が火星に住めなくなり地球へ移住しようとしたが、環境に適合せず地球侵略のため人間を連れ帰り、何らかの新しい能力を組み込んで戻したのだがこの船だけは故障して不時着したのではないか?と考えました。
 クォーターマス教授、ロニー博士は昔の住人が見た何かを探るため頭に浮かぶイメージを録画する装置を現場に持ち込み宇宙船と接触し人類が持っていながら埋もれている記憶にたどり着きます。それはかって火星人が火星の社会の安定を図るために、火星人が火星人の変種を排除して大量虐殺をするイメージ映像で、おそらく地球侵略をするために連れ戻した人類にはこのイメージが植え付けられていて、宇宙船には人間の力を爆発させる何かが組み込まれていると考えたのです。
 しかし政府の役人とブリーン大佐はこの考えを否定して翌日多くの報道陣を現場に入れ記者会見を始めます。
 そして某テレビ局が勝手に船内に持ち込んだ高圧ケーブルに宇宙船が反応して発光しはじめ、地下の会見場は大パニックが起こり、火星人に何かをされた人を先祖に持つ多くの人々は潜在していた超能力を使いはじめ、先祖の違う人類を虐殺しはじめます。

 エネルギーを集めはじめた宇宙船は地表にホログラムの大きな火星人の像を作り出しその像を見た火星人に何かをされた先祖を持つ者を操りはじめます。
 ロニー博士はホログラムの像を破壊するには鉄の塊でアースさせる必要があると考え自らを犠牲にして、工事現場のクレーン車で立ち向かい人類の危機を救います。

 60才以上の方なら一度や二度はテレビ放送で観た映画です。宇宙船の中から発見されるイナゴのような火星人のシーンやクレーン車の上に昇って毅然と立ち向かうロニー博士の姿を観ると「観たことある!」と言っちゃうヤツです。

 クォーターマス教授のシリーズ第3話ですが、クォーターマス教授の先祖は火星人に何かされているようで途中火星人に支配されそうになりロニー博士によって正気を取り戻すちょっと情けない設定です。
 自らの命と引き換えに人類の危機に立ち向かうロニー博士を演じるのは「戦場に掛ける橋」「大脱走」にも出演しているやさしい顔立ちのジェームズ・ドナルドです。

 イナゴのような火星人や火星人の大量虐殺の映像に出てくるモノクロ映像の火星人集団、そびえ立つ火星人のホログラム像は子供騙しのようなお粗末な作りが残念ですが、幼い頃の火星人は何故かイカやタコのイメージだったのでイナゴのような火星人には強い印象があります。

 子供の時に観た「宇宙戦争」に並ぶSFホラーの傑作です。
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