140字プロレス鶴見辰吾ジラ

劇場版 アイカツスターズ!の140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

3.7
エピソード10 クローバーフィールド・レーン

現在テレビシリーズ放映中のアイカツスターズの劇場版。

まだテレビ版の展開が早いため劇場版を不安に感じましたが、アイカツ劇場版の”踏み込む”スタイルに掻き消されました。

冒頭の主要キャラ4人のライブシーンで何か薄っぺらい印象があり企画的趣向のファンムービーで終わるかと感じましたが、テレビシリーズに潜ませている謎、サスペンスな部分を投入してきます。これをトリガーに観客側への不穏な印象と、ゆめとローラの仲違いのシーンは互いに掴み合うまでのコンタクトを見せることで今までにない危機感を煽る。裏にゆめと学園に関する謎を潜ませたエッセンスがよく効いて、作品全体を一気に穏やかでない方向へ舵取りします。

クライマックスはひたすらにエモーショナルな絵やセリフをダムが決壊したかのようなパワープレイ。少し焦りすぎかと感じが鼻につきましたし、事後処理にして作品のランタイム気にしているきらいも。

ただそれをすべて払拭したのが、劇場版に取っておいた大仕掛け!仕掛けというよりは、テレビシリーズで投入してこなかったカードをここで切る!アイカツシステムが存在するという世界観とリアリティの共存させた外連味たっぷりのライブ演出は圧巻!

東京都23区壊滅級…

劇場版だからといってストーリーは止めないですし、かと言って完結を拒否していることもない出来栄え。劇場に足を運べない人には少し持ち球が減ってしまうのは少々気がかり。

最後のライブシーンが今作のステージのスペクタクル性を踏まえると閉鎖的すぎたなという悔しさも残りました。

エンドロールにも劇中の裏側をフォトグラフ調に写し出すことでのフォローの巧みさ。
砂浜に書かれたあの言葉の重さ
ステージを前に絆を確認するS4
そしてこの世界観を作るシステム自体を切り返しかねないある1枚。アイカツシステムの仕組みの不可思議さに突っ込んでいる
など、見たかった絵の提供は驚き。ここで作品の広がりがグッと硬いものになったのも事実なり。

アイカツスターズはまだまだ続くよ!だから毎週この虚構に向き合うのである。