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レイプ・ショックのhorahukiのレビュー・感想・評価

レイプ・ショック(1979年製作の映画)
3.6
私は殺人鬼なの…?

脳腫瘍の摘出後「まだ治っていないのでは?」な強迫観念に取り憑かれた教会病院の看護師兼シスターの主人公。医師は「治ってるよ」の一点張りで診察してくれない→不安に苛まれモルヒネ中毒に…。そして病院内では急に自殺者が続出。もしかして自分が殺したのでは?と思い悩むベルーチ製ジャーロ。

レビュー書かれてる方の全員が言及してるのでそれに習って私も!食事中、コップに入れ歯を浮かべてたお婆さんにブチギレたアニタ・エクバーグが入れ歯を粉微塵になるまで踏み潰すシーンが圧巻!!破壊後のカケラを繋ぎ合わせても元のサイズにならなそうだし、目視で確認不可なレベルにまで粉々にしちゃった可能性!入れ歯職人が泣きそう…お婆さんは泣いてた😭

79年というジャーロ低迷期なためか、純粋なジャーロではなくナンスプロイテーションと融合させた混成作品。新聞記事で殺人尼僧の言葉を見つけたプロデューサーが企画をスタートさせたものらしい。だから一応実話ベース!😂

脳腫瘍摘出の後遺症なのか、敬虔なカトリックなはずの主人公は患者の命に関わるようなミス頻発するだけでなく、どんどん欲望を制御できなくなっていく。さっきの入れ歯お婆ちゃんは主人公が怖すぎてショック死しちゃうんだけど、殺しただけに飽き足らず、お婆ちゃんの荷物から指環を盗むという死体に鞭打つような極悪非道っぷりが凄い!そしてその指輪を売ってモルヒネ大量購入…😅

過去(切開した脳みそ)と現在と未来、時間を超越した高速編集によって主人公の狂い具合を強烈に印象付ける中で、自己分析的な未来からの「目」を何度も挿入するのが面白くて、自分の目だけでなく周囲の目も全て自分を責めているように世界が主観化していくのも好み!そして目線だけでなく、神への祈りの声までもが責め苛んでくるような引いて行くカメラでの矮小化とかもサイコーだった!

タイトル『レイプ・ショック』だけど、全然レイプとかないじゃん!とか思ってたら、ラストシーンでやっと納得!確かに『レイプ・ショック』だった🤣「理解されない苦しみ」を根底に置いてるのは面白いし、その結果として出来上がった人物とその過程を別人格で対照することによって牢獄から牢獄へと円環構造のような地獄みがあって良かった。最も救いの手を差し伸べるべき場所だもんね。お菓子食いながらまともに話を聞かない修道院長(アリダヴァリ)の酷さには笑った!🤣
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