Jaya

怒りの日のJayaのネタバレレビュー・内容・結末

怒りの日(1943年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

牧師アプサロンと息子マーティンと後妻アンネの寝取られ話に魔女裁判をゴッテリと乗せたお話。しかし昔の映画は爺と若い女の夫婦が多い…。

配役と演技が素晴らしいです。強い眼をしたアンネ、魔女的な印象を出すための一瞬の表情の変化に圧倒されました。

軍人みたいな厳めしい佇まいの義母、極度に芝居がかった声の出し方が面白い。マルテのイノセントさも魅力的。

撮影もかなりのインパクト。各カットの構図が美しく、尋問や葬儀の際の絵巻物的なパンが印象的でした。アンネをはじめ一人真正面から写すカットが力強い。加えて、風の音のリアルさ。

魔女裁判の欺瞞とリアリティからの、魔女のことなど忘れ去ったようなホームドラマの展開はちとダレていたようにも思いますし、アンネの母などは説明が足りないようにも感じました。

が、アンネの強烈な佇まいとアプサロン死亡からの展開に全て消し飛んだようでした。しかしロレンティウスの死はどう捉えるべきなのだろう。いずれにしても中世的な道徳観念や啓蒙主義を意識していながらも、それ以上の力強い表現。

戯曲を元にしたものらしく、それを上手く活かして、さらに映像的な完成度も素晴らしく、映画ならではの表現を味わわせてくれた傑作でした。
Jaya

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