horahuki

ディメンシャ13のhorahukiのレビュー・感想・評価

ディメンシャ13(1963年製作の映画)
3.8
全てを包み込む闇!

コッポラの初期作!コーマン製作!短い映画ないかな…と思って何の気無しに見始めたんだけど、ど直球なジャーロでビックリした😂調べてみたら結構色んなところでそのことに言及されてて、しかもバーヴァ『知りすぎた少女』と同年っていうコッポラの先見性に感服!というか私、初コッポラだった😂

イギリス産ジャーロ『惨殺!』も63年で同年。ジャーロなので、いずれもヒッチコック(本作は『サイコ』)影響下で製作されたのは間違いないのだけど、同時多発的にジャーロが各国で生み出されているのは映画史研究家の方々はどのように捉えてるのか気になる。なんか論文書けそうなテーマじゃない?初のジャーロは『知りすぎた少女』だとか良く言われてるけれど(実際は違うけど😅)、少なくとも2作が同年にイギリスとアメリカで作られてるわけだし。

お話は良くあるジャーロと似たような感じで、遺産相続に纏わる親族のイザコザとブルジョワに巣食う闇と幼少期のトラウマ。7年前に娘を亡くした家長のマダムは、今でもそのことを引きずっており、毎年命日になると息子3人を呼び戻して葬式をするという狂いっぷり。長男の妻は金のことしか考えてなくて、マダムに良い感じの遺言を書いて貰おうとしてる。でも心臓の病で長男が突然死。「私の取り分なくなるやん!」と考えた妻は長男の死を隠蔽し、マダムに遺言を迫ろうとするが、屋敷の中で殺人が起こり始める…。

画質が終わってて魅力を存分に味わうことはできなかったけど、かなり面白かった!海も空も境界線がわからなくなるほどの漆黒の中に浮かぶボート。その上での長男と妻のやり取りがセンス抜群で、互いへの意地の悪い敵意染みた感情だけが際立つようなヒリヒリとした感覚が楽しい。相手へ向けた悪意が自分へと返ってきて逆に嘲笑われるような曲調含めた皮肉と、水の中に沈めることと浮上することに家族の深層へと至る通路を担わせるフロイト的な感覚も完全にジャーロそのもの。

この冒頭からして現実を超越した悪夢の具現化として本作を設定しているのがわかるし、それは「城は悪夢そのもの」だというセリフからもしっかりと念押しされている。このあたりもアルジェントのジャーロ観と非常に近く、悪夢そのものである城(=家族の心的関係性)への分析を全編を通して行い、その分析に対する心的な反発として殺人が行われることになる。近いとかじゃなくて、完全にアルジェントなんだけど…どうなってるのコレ?

こんなの撮れるんなら正直ジャーロもっと欲しかったな〜って思った😭あと、コメント返せてなくてゴメンナサイ🙏ちょっとずつ返していきます!!
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