ねこ無双

不貞の女のねこ無双のネタバレレビュー・内容・結末

不貞の女(1968年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

愛らしい幼い我が子、夫からも愛され、裕福で恵まれた生活を送りながらも、別の男と情事を重ねる女。
ストーリーにしてみたら、ほんとに良くあるなんて事の無い話なのかもしれない。
なのに、演出によって全く違った味わいになるんだと感心させられて。

そして、序盤から流れるサスペンス満点な音楽。幸せな家族の日常を描く様子には決して似つかわしくない曲調。
『肉屋』でも違和感ありありの音楽を作ったコンポーザーはシャブロル常連のピエール・ヤンセン。

ラスト30分ほどの冴え渡る演出、ほとんどセリフの無い中で何に気づいた、何を考えている、この後どうなってゆくのかを理解させてくれる。
夕べの食卓で響く子供の咀嚼音、欠けたパズルのワンピース、何度も訪れる刑事、燃えてゆく写真、夫からの激しくも静かな愛の告白、
そして、カメラは遠ざかってゆく。