茜

フェティッシュの茜のレビュー・感想・評価

フェティッシュ(1996年製作の映画)
2.5
オープニングクレジットに「製作総指揮:クエンティン・タランティーノ」の文字が。
全く知らなかったので得した気分…。
劇中のワイドショーでは「フロム・ダスク・ディル・ドーン」ゲッコー兄弟の顔写真も出てくるよ。

殺人事件に強い興味を持つ主人公が、殺人現場専門の清掃員となり、世間を賑わしている連続殺人犯の現場を担当する事になる。
あらすじだけ読むとゾッとしそうなもんだけど、ブラックコメディに仕立ててあるのでシリアスな雰囲気は皆無。
特殊清掃員が若い女性揃いっていう点にとっても違和感を感じたんだけど、そこは絵面重視なんでしょう多分…。
殺人現場も血こそへばりついているものの、虫が湧いている訳でも肉片が落ちている訳でもないので全くリアル路線ではないです。
登場人物やBGMをラテン系に統一し、主人公の特性を際立たせるためか赤色がよく映える映像が特徴的。
そういう世界作りは好みで好きだったんだけど、どうにも自分は話に盛り上がれず退屈でした…。

後半で主人公が殺人現場で音楽に合わせて踊り始めたところはややテンション上がったんだけど、殺人犯と顔合わせしてからの展開に眠くなってしまって…。
殺人現場で主人公が殺人犯を質問責めにするというワンシチュエーション会話劇を長尺で見せられるんだけど、その内容があんまり面白くない。
ふっと情景が浮かび上がるような内容でもないし、言葉選びに捻りも感じられなくて何だかダラダラしてしまう。
ずっと同じ部屋の中でそういった会話を延々としているもんだから、画面上の変化もないため更に長く感じるという悪循環に…。
タラ総指揮なので会話劇には結構期待していたんだけど、ここは正直残念だった。

元々この映画は監督が学生の頃に30分の短編として製作していたものをタラが気に入って劇場映画化したらしいんですけど、この映画は「当時大学生だった監督が短編として撮った」からこそ光るものがあったのではないか、と思ってしまう。
元々短編だったものを長編化しているせいか間延びしてモタついてる部分も多く感じたし、何より「無名の大学生が卒業制作でこんなにユニークな内容の短編を撮りました!」って方が自分は断然魅力的に感じるので、結果的にオリジナルの方が観たくなりました。
茜