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旅情のkuuのレビュー・感想・評価

旅情(1955年製作の映画)
4.1
『旅情』    映倫区分PG12
原題Summertime
製作年1955年製。上映時間100分。
英国映画。

長年の夢であったベネチアへ一人旅にやってきたジェーン(キャサリン・ヘプバーン)は、そこで素敵イケてる男レナート(ロッサノ・ブラッツィ)と出会い、情熱的な恋をする。ベネチアの美しい街並みと、その地での夢のように素敵な恋を楽しめる、ロマンチックな物語。。。。

私的ながらこの映画はとても素晴らしかった。
どない素晴らしいんかと説明しようにも正直よくわからない🙇‍♂️
この作品を観た多くの人に優れた映画であるって納得させ、ほんで映画ちゅうモンはこないなんやとう云う薫りを醸し出してる。
若い人にも、老齢の人にも、 同じような愛情の喜びと、甘美な情感を沁々と味わせるんちゃうかと思います。
この映画は、小生のように今さら外国へ行っても感動は少ないと考えてる人にも、やっぱヴェニスはなんとしてでも行ってみたいと決心をさせるモンがある。
最近観てる映画の半数は、
小五月蝿かったり、
世知辛かったり、
持って回りすぎるか、
自意識がすぎるか、
ホコリっぽいか、はたまた玄人すぎて見せてやろうといういやらしさが充満している。
それはそれで可笑しな話やけど面白く観てる。
しかし、この作品は
『理解するには簡単で』
『酔うに美しく』
『語るに切ない』
ロマンス映画には最適やと云える。
しか~し、
『説明する』
には、少し難しい映画と云えるかな。

キャサリン・ヘプバーンて女優さんは元来、美人女優の中じゃ名前が下の方から勘定した方がはやい女優さんやと勝手に位置付けしていた。
せやけど、アメリカ特有の枯草のような、ほんで個性の強い匂いをプンプンさせた女性やと今作品を観て感じた。
どぎついメイクアップをしてへんし、独演のような一人演技ちゅう立場にあって、 それがこの風光なヴェニスを深い教養の眼を通された中であっても、どの場面でも、なんらの見劣りしないちゅうのは、彼女は魔女かなんかなんかなぁ。
彼女が映画で着てる服はどれもが、田舎臭くの粗末で、野郎から見ても興味が湧かない野暮ったい服ばかり。 
しかし、このキャサリン魔女にかかれば吃驚するくらいの個性をもって、美しく、伝統の高いヴェニスの風景の中に調和を見せてた。
やっぱりなんかの魔法を使ってるに違いない。

物語は、前半とり残されて、旅を思い立った壮年期女子の淋しさを、カラッとしたアメリカ女子の表面の気質の中に、麗しく内面的に描いて、
後半は、愛を得て歓喜し、途中思わぬ影に暗くなり、また思い直して野郎と恋を楽しみ、
ついには肉体的関係を結んで、そのあとにくる余情の愛おしさを転々と甘美に描き、最後に、アッちゅう間に別れてしまう。
それにしても旅情のすべてを描きつくした良い映画でした。
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