朱音

アイアンマン3の朱音のネタバレレビュー・内容・結末

アイアンマン3(2013年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

アイアンマンとして次々に現れる強大な敵と闘い続けるうち、疲弊し不安や恐怖から不眠症やパニック発作を起こすまでになり、躍起になってスーツを量産しまくるトニー。
彼の過去の行いによって生まれた新たな敵、キリアム。
アメリカ国家を揺るがす中東のテロ組織との攻防と、それをとりまく因果関係。

大まかに分けて3つのラインで構成されている物語が複雑に交差し、またそれぞれの問題は実は微妙に別の問題であるということから、正直分かりにくいストーリーだと感じた。
所々に興味深い言及はあるのだけれど、消化不良で安易な締め方をしていると感じる部分も多い。
特にテロ問題に関しては、「悪者」として割り切って描いていた1作目とは明らかに違い、アーカイブ映像などを挿入したり、現実のテロ組織と同様の構造を模したもの、因果関係への言及など、リアルアメリカの抱える社会問題により深く切り込んでいってるのが見て取れるが、結局は扱い切れていない。
スーパーヒーローが大活躍する映画においては手に余る問題という事が浮き彫りになっただけに思う。

こういった方向に手を広げるよりは、それこそ心に問題を抱えたトニーの再起の物語、人間的変化、過去の行いに対する反省など、的を絞った方がよりカタルシスを得やすい物語になったんじゃないかな。

ただ、そういったことを全て脇に置いて、この映画を観ると、
トニー・スタークというキャラクターの「らしさ」、そのイズムに終始顔が綻んでしまう。
とにかく小気味よく、憎たらしく、格好良い!
子供との接し方などああ良く分かってる!と言いたくなるほどトニー節全開で、ファンの期待に対する応えを、絶えず更新していっているのを感じる。
演者同士の舌戦をしっかり押さえているのも素晴らしい。

そしてアクション、前2作に比べてカットの割りが細かく、カメラも良く動いて、派手になり、情報過多で見疲れするようになった感も否めないが、とにかくアイディアが豊富で、ひとつひとつの場面に新鮮な驚きを感じさせてくれ、非常に見応えがあった。
ラストバトル、スーツを惜しげもなくパージして戦う姿はロマンに溢れていて、これぞアイアンマンならではの格好良さを追求した素晴らしいアクションだった。

と、物語構造や問題の扱いに疑問を感じつつも、ズバ抜けたアトラクション性能、アイアンマンというシリーズの肝となる要素をしっかり押さえ、かつスケールアップしてみせたエンターテインメント作品として非常に楽しめた。


ラスト、お馴染みのアーム君たちがちゃんと回収されててホッとした。
朱音

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