このレビューはネタバレを含みます
おおぅ…そういうことかぁ。
どのレビューも冒頭に「ネタばれ読まずにまずは観て」と書かれているので、ちゃんと言うことを聞きましたよー。信じてよかったFilmarks。
廃れた炭鉱の町、コールドロック（名前からして寒々しい）。近年、幼い子供が次々に姿を消す事件が発生している（ざっと１８件余）。地元の保安官や一番近い大都市からFBI捜査官ものりだすが、手がかりも子供たちの行方も生死も不明。住人たちは謎の誘拐犯を「トールマン」と名付け戦々恐々としていた。
主人公は街で開業医をひらくジュリア(ジェシカ・ビール）。ベビーシッターに子供を見てもらいながら働くシングルマザーの彼女の家にある夜、正体不明の怪人物が押し入り子供をさらっていく。全身傷だらけになりながら必死で犯人を追い、超人的なカーチェイスまで見せるが、結局、子供は連れ去られてしまった…。そして傷だらけで道に倒れているジュリアを見つけた街の保安官、ダイナーに彼女を連れ帰ると、そこにいた街の男たちやダイナーの女主人はみな不穏な様子で…。
冒頭から漂う、しゃまらん臭（笑）
そして、上に書いたあたりまで観て、やっぱり感じるしゃまらん臭。いや、よりいっそう強くなるしゃまらん臭（笑ｘ２）
これは…
町ぐるみの「なにか」か？それとも町ぐるみ乗っ取った「なにか」の？
もうエイリアンか宗教か、はたまたスーパーナチュラルな何か、という、しゃまらん臭いオチしか想像できんよ。これ、最後までみつづけてよいものかしら。これまでしゃまらんにはどれだけ騙されてきたか。
しかし、ここまでしゃまらんしゃまらん書いててなんですけど、これはしゃまらん監督ではないよ。マーターズのパスカル・ロジェ監督だよ。そして先に観たレビュアーさんも開口一発「なんじゃこれ！？」とは言ってないよ。「まずは観て」と。わたし、しゃまらんよりレビュアーさんたちを信じるよ。
ざっくり結論を述べると、都市伝説の誘拐魔トールマンによる誘拐と殺戮、拷問の阿鼻叫喚ワールドではありませんでした(マーターズ…(￣Д￣)）
ホラーではなく、まさかの正統派社会派サスペンスという着地点。おお。
鑑賞後も、なかなかに考えさせられます。
特に、いま日本でもニュースにならない日はない、実の親による育児放棄、ネグレクト、虐待致死・・・そして経済格差、地域格差からくる負の連鎖。断ち切れないなら、そこから連れ出すってのもね、ひとつの方法には違いないのだけどね。
でも…地域はそうやって見捨てられるだけなんだろうか。行政が役立たずなんだから仕方がないってことで。でもほかに方法はなかったのか。貧困地域に与えるのは食糧そのものではなく技術や教育である、ってこれこそ正当な救済なんだろう。その間に子供は育ってしまうし「救済まったなし」という強硬手段としてアリなのかもしれないけど。
おいていかれた家族や街を考えるとやるせないよ。
個の家庭単位で考えると、ホントのしあわせってなんなんだろうか。都会の豊かな暮らしを知らないで生涯を終える、そのなかでの幸せだってあっただろうに、とも考えられるから。正解が見つからず悶々。
他の消えた子供たちより少し大きい(１５歳ぐらい）少女、ジェニーは自らのぞんでトールマンに会わせて、と願った。
ホントのしあわせってなんだろう。いっそ親が心底クソだったらそのあたり割り切りがつくのだけど、残されたジェニーのお母さんの表情が辛かったわ。
キャラクターもののホラーのように始まり、鑑賞後の後味は「ウィンターズ・ボーン」のようなやるせなさ。・・・
よくわからなかったとこ。
冒頭、ジェニーのおねえさんが出産するくだり。このうちの家族編成がよくわからなかった。ジェニーのおねえさんを妊娠させた男のはなしとか、…こういうの仕掛けられたトラップ、ミスリードだったのか。
ベビーシッターのコがめちゃくちゃ怪しかったけど、ただの共犯なだけ？これまたミスリード？
ジュリアを罵倒した投獄されてた女たちって？？？
とにかくいろんな過去のこういったジャンルを想定させる怪しさ満載。ジャケット詐欺ではない、トールマンの黒づくめマント姿の風貌。それからしてホラー感、というかしゃまらん感、満載じゃないですか。ずるい（しゃまらんは悪くない）
そしてラスト、ジェニーを失ったおかあさんが、捜査官にむかって「耐えます」「１５年も耐えてたから大丈夫」って答えてたけど・・・？お母さんと、長女を妊娠させた男との最後のアイコンタクトも謎だったなぁ。まさかジェニーはこの男とお母さんとの子だったとか？姉も孕ませてんだよね？・・・などとかなり不穏な家族関係を想像しながら、もやもやとした気分で終わったのでした。
くちのきけない少女ジェニーをやっているジョディ・フェルランド。「サイレントヒル」のシャロン。大きくなったね。キレイな目だけで語ってくるような演技は素晴らしい。（最後、しゃべってたね）「am I right？」って語りかけるラストに返す言葉を失くします。
