あまのかぐや

ブレット・トレインのあまのかぐやのレビュー・感想・評価

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)
4.9
予告で観たとんでも日本描写。ところどころあってて正しい、で、だいたい「それはない」と爆笑。馬鹿馬鹿しくもガチな映像美とアクション。挿入歌の使い方もだいたいあってる。日本語「Hero」麻倉未稀版 とかカルメンマキ、とどめにべたな「SUKIYAKI」などなど、やっぱりここはやっぱり日本語の曲で聞きたいよね。人物紹介のカタカナや漢字も、ダサさから反転してかっこいい。こういうの大好き。特に日本が誇るブレットトレイン新幹線の使い方ね「ゆかり」ってひらがなが映るたびに笑い出しそうでマスクの下で震えたわ。

もう一回みたら、細かいところいろいろ発見がありそう。

デッドプールのデヴィッド・リーチ監督。この監督のハチャメチャ感はなんだか好き。タランティーノっぽい復讐モノだけど、それよりも湿度と粘度がなく、すっきり見やすい「これが俺の観たいニッポン」像。いいかげんにみえて愛情とリスペクトが随所に感じられた。時間通りに停車し発車する鉄道、「不思議都市トーキョー」と「アコガレの古都キョート」をかっちり時間通り結ぶ夢の超特急。不思議なユルキャラ「もももん」(ソメイティとミライトワ?あ、ビンドゥンドゥン?)アニメやアーティストよろしくキラキラ髪の車内販売(しかも礼儀正しい)。あと地味だけど車内販売の倉庫?備蓄庫みたいなところの整理整頓っぷりもなんだか好き。日本ってそういうところあるよね?」って気付いてくれてアリガトゴザイマシタ。

5年ぐらいまえ、新幹線で隣の席にいたニッポン旅行中の若い家族を思い出したよ。ずっとソワソワ・わくわくしてる感がこちらにも伝わってきて、こっちまで「ニッポン楽しい、シンカンセン楽しい」って思えた。
あのころたくさん来日してた海外の旅行者たち。コロナでニッポン旅行できない海外の人たち、キレイで愉快でわくわくするニッポンの旅を思い出してくれたかな。トーキョーを舞台にしてるけど一部の富裕層だけ喜んでいるオリンピックより、ぜんぜんこちらのほうがいま世界が観たい大好きニッポン、アピール大だと思うんだ。

そのキレイに整った車内を「うりゃー!」「どやーっ!」と大暴れする殺し屋たちのキャラもそれぞれハマっていた(原作しらんけど)かっこいいブラピもだけど、アホ顔とかよわよわ顔をみせるブラピって本当に好き。特にジョーイ・キングちゃんの「プリンス」、濃くて良かった。ホワイトハウスがテロに襲われる映画の時に比べて大きくなった?のかな?童顔というのかどうか不明だけど、とにかく濃くて忘れられない役でした。

ニッポンの宝、ヒロユキ・サナダ。渋みを増した彼のルックスや雰囲気、そして唯一無二の殺陣を大切に扱ってくれたことがうれしい。(「エンドゲーム」酷過ぎたよね)見せ場たっぷり。ラスボスのマイケル・シャノンとラスボスのヒロユキ・サナダ。列車内という狭い空間を、それでも十分生かして見惚れてしまうシーン。

怪しい日本語しゃべる息子、できれば日本の役者を使ってほしかった。MIYAVIさんとか。

昔、まだニッポン資本が優勢を誇っていたころ「ダイハード」のトヨトミとか、ちょっと時代が遡って松田優作の「ブラックレイン」とか、ニッポン的なものを描いてはいるけど「でもちょっと違うよね」と思ったものです。でもどこか文化も人も小馬鹿にされているような…あくまで私の感じ方だけど、なんだか好きじゃない。そういう点、最近のニッポン描写の「これじゃない感」と「わかってるじゃん感」の間が近づいてきてるんじゃないかな、と思う。

伊坂幸太郎の原作「マリアビートル」は読んでいないけど読みたくなった。アマゾンの商品紹介であらすじ読んだら、だいたいその通りだった。うける。

満点にしたいけどIMAX鑑賞できなかったからちょっと残念の気持ちを込めて。
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