あまのかぐや

プロミシング・ヤング・ウーマンのあまのかぐやのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

どうしても観たかった。身構えてたけど、予想以上におぞましさと悲しさと、あと、ほんの少しの爽快感で鳥肌が。いろんな感情がないまぜになって心がかき乱された。

これから観ようと思っている方は、どうかネタバレや、他の人の感想を見ずに見て下さい。

わたし基本的には他人の感想を読むのが好きなんですが、この映画に限っては人によって受け止め方、受け止める方向がかなり違っていそうで、もともとそれが楽しくてやっているフィルマークスなんですが、ちょっと今は平時と違って心が乱れそうなのでやめておきます。

アカデミー賞で脚本賞をとったというこの作品。「ハーレイクイン」みたいなネオンカラーのポップな色合いのポスターに主演キャリー・マリガン。これにつられて入ってしまった若い女性たちに感想を聞いてみたい気もする。

でも振り返ってみると、あからさまな暴力シーンは見せないという、ね。そこがまた良い。銃とかナイフとかナタとか、そんな凶器がなくても(工具のようなものは見せたけど)キャシーの復讐は激烈に刺さる、というか精神そのものと社会そのものを断つ気がするし、それだけ昏く激しい。


わたしは某有名大学生たちのあの事件を思い出してしまった。思い返すのも胸糞悪いあれだ。
このタイトルの元でもある「プロミスドヤングマン(将来を嘱望された有能な若者)」たちの起こしたあの事件。

この映画に出てくる男性たちもアクのない好男子たち。いや「並みの並み」の男たち。みんな小奇麗で(お約束のポロシャツ)、印象に残らないルックスで、街の中に入ればスッと溶け込んでしまう。そう、街の中にスッと溶け込んでいるんでしょうね、優しくて・学があって・気立てのよい毒気のない人柄のお医者さまたちが、「若気の至り」の過去を隠して(流して)市井に溶け込んでいるんだろうな。

キャリー・マリガン。白くて細くてはかなげでふわふわした、男が好きそうな女。「男ってこんな女好きでしょ」って女に思わせる(ちょっといじわるな言い方だけど)そんなイメージがあったけど、あったからこそのキャリー・マリガン。この役、キャシーを演じ切る心根があっぱれ。「未来を花束にして」にも(このふんわりしたタイトルもなーんかね!)その片鱗があったけど、これからどんな映画に出ていくのか楽しみ。


あとサントラが秀逸。わたし思いっ切りMTVに育てられた世代なので、映像と感情とBGMがパシッと決まると涙とか鳥肌とかいろんなものが体内から出てしまうということが最近分かった。「クルエラ」しかり。冒頭の「Its Raining Man」のアレンジからゾクゾクしたし、パリス・ヒルトンとか、山場で出てくる重いストリングスアレンジの「Toxic」、ジュース・ニュートンの「Angel of the Morning」とか、そこで使うかぁ…と。MTV世代としてはパットベネターの「Love is a Battlefield」のPVが好きだったし、なんかこの世界観に合っている気がしたから入れて欲しかった…。
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