あまのかぐや

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホームのあまのかぐやのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

2016年のシビルウォーからMCU、アベンジャーズの一員として華々しくデビューしたトムホ=ピーター・パーカー=スパイダーマンの、このうえなく見事な帰着そして花道でした。

そしてトムホだけでなく…「どのピーター?!」「どのピーター・パーカー?!」と、思わず笑顔が出ちゃう「あのシーン」みたいですが

俳優、作品、過去作…たくさんの愛とアイディアに、人脈とマネーを練りあげるとこんなすごいモノができるんだなぁ。マーベル+ディズニーの超巨大資本主義パワーにげんなりしてきたこともあったけど、こんなすごいもの見せられたらなんもいえんわ。感動の一言です。

これまで観てきたスパイダーマン、作られてきたスパイダーマンどれとしてひとつもムダなものはなかった、と。

へんな言い方だけど、でもこの言い方しか思いつかない「供養」とか「成仏」とか…とにかく全方向に手を合わせたくなりました。ありがとう

わたしはトビー・マグワイヤのスパイダーマンどっぷりの世代だし、わたしから少し下の世代では、ガーフィールドの「アメイジングスパイダーマン」の終わり方にもやもやを抱えて生きてきている、という話を聞きました。

あらためてトビスパとアメスパを観ないとあかんやろか。いや観なくていいかな。いまなんだかとてつもなく爽快なので、あら探しをするかのようで…

実をいうとトビー版スパイダーマンのヴィランたち、ベテラン俳優が演じる悪役たち、悲しくてドラマチックで、コミック的悪役の美学を賞賛してきた世代でもあるので、「彼らを治療して治めるところに返す」という展開にちょっと心がざわついたりもした。そこはもうそのままそっとしておいてや、という気持ちもあったけど、正直なところ。

ヴィラン達のなかでも特に一番力が入っていたであろうグリーン・ゴブリンのウィレム・デフォーがほんとにすばらしくて。前作のミステリオもとてもよかったんだけど、ミステリオさえもしのぐ真のヴィランを観た。でも顔とか肌はCGで若返ってるんだよね、きっと。

今回、「ウィレム・デフォー大サービスの巻」だったけど、二代目ゴブリンはどういう結末だったんだっけ…。ポスターにゴブリンの姿を見つけた時、このゴブリンはどのゴブリンだろう、わたしはトビーのピーターとハリーオズボーン(ジェームズフランコ)の確執の物語を引っ張ってきて欲しいんだがなぁ、とこっそり思っていました。でもネッドに「君にも親友がいる?」と聞かれ、ハリーのことを暗に言及してくてくれて嬉しかった。これがネッドに伝わっている、ってそれだけで、ハリーの存在も無駄にされていなかったんだな、と嬉しかった。マルチパースでハリーとノーマン父子、そしてデイン・デハーンのゴブリン3世代(?)のお話も観たい気がします(ないわ)

あと、難があるとするならドクターストレンジがからむあたりアクションも話の流れもアクションもごちゃついてて「いやそこはもういいから」って少しだけ思ったぐらいかなごめん。ストレンジさんは悪くないし(いや悪いけど)カンバーバッチはやはりうまいなぁと思わせる。でもけっきょくしっちゃかめっちゃかかき回したのはストレンジのぽんこつっぷりと、大人になりきれないピーター。

一番泣いたのはメイおばさんの口からの「大いなる力には大いなる責任がともなう」。はじめてだよね。トムホ版でこのワードがでたの。トニーもキャップもハッピーもミステリオも、言ってないよね。

まさかまさかまさか、ということはメイおばさん…

この言葉が、ほんとにほんとの始発点。そうかここからがほんとのトムホ・スパイダーマンの物語がはじまるってことだったんだねー。

ノーウェイホーム。帰る家や仲間や、トニーが作ったナノテクスーツもなく、手縫いの布スーツで小さいアパートの一室からはじまる。小さな存在に大きな力を宿す町のヒーロー。「親愛なる隣人」の物語。この先、つづきがあるような、ないような。

オールドファンばかり号泣させるだけでなく、ここ数年からの、シビルウォーから作られてきたスパイダーマンakaトニースタークの後継、スパイダーマンinアベンジャーズもきっちりとまとめてきていて、なんだろうこの情報量の多さを、よくぞ、まとめきったものだ。

アイアンマン、キャプテンアメリカ、ブラックウィドウ、ホークアイ…歴史を作った前フェーズアベンジャーズたちの物語がどんどん閉じていく中で、このお話が一番すっきり後味が良かった。もういちど、全方向にありがとう。

もうひとつありがとう。ネッドがつくるぐるぐるポータルから現れたひょろんとしたスパイダースーツ姿…マスクをとった顔に思わず声が出てしまう、映画館での衝撃を味わえたこと、感謝。ネタバレ遮断の配慮をいただいた各方面に感謝!

まだ書きたいことおもいつたら加筆するかも。
その前にもう一回観に行きたいなぁ。
あまのかぐや

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