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博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったかのkuuのレビュー・感想・評価

3.9
『博士の異常な愛情/または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』
原題 Dr.Strangelove: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb
製作年 1964年。上映時間 93分。
東西冷戦の最中に撮影され、戦争が世界の破滅を導くことをシニカルに描いたブラックコメディ。
『ロリータ』『ピンクパンサー』シリーズのピーター・セラーズが英軍大佐、マフリー米大統領、表題でもあるストレンジラブ博士の3役を見事に演じている。

米国空軍のリッパー将軍の指示でソ連に向けて核攻撃が開始される。
英国空軍のマンドレーク大佐が爆撃機の撤退を説得する一方、ソ連は核爆発によって誘発される地球破壊装置の存在を明らかにする。

与太噺から始めます。
『もし高校野球のマネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』って映画(原作は小説)のタイトルを見たとき、長っ!って思った。
個人的に印象的な長い映画タイトルとしては、結構アバンギャルドな作品やった『マラー/サド-マルキ・ド・サドの演出のもとにシャラントン精神病院患者たちによって演じられたジャン=ポール・マラーの迫害と暗殺』("THE PERSECUTION AND ASSASSINATION OF JEAN-PAUL MARAT AS PERFORMED BY THE INMATES OF THE ASYLUM OF CHARENTON UNDER THE DIRECTION OF THE MARQUIS DE SADE")ってのがある。
しかし、映画史上最も長いタイトルの映画は、意外にも邦画の
『RANMARU 神の舌を持つ男 酒蔵若旦那怪死事件の影に潜むテキサス男とボヘミアン女将、そして美人村医者を追い詰める謎のかごめかごめ老婆軍団と三賢者の村の呪いに2サスマニアwithミヤケンとゴッドタン、ベロンチョアドベンチャー! 略して…蘭丸は二度死ぬ。鬼灯デスロード編』だそうだ。
ってホンマどーでもよい噺ですいません🙇。
扨、今作品はなんせ力強い。
何故なら、公開当時のメッセージ性にあると思う。
今作品が公開されたのは、核時代と冷戦のパラノイアが最高潮に達していた時期で、ちょうどキューバ危機の頃やったはず。
今作品では、政府の裂け目とちょっとした外交ミスが核兵器によるホロコーストを招くちゅう、恐ろしく悲劇的な事件が描かれている。
なら、なぜ今作品はパニックを起こさなかったのか?
それは、キューブリックがこ今作品を風刺として見事に表現したからやと思います。
振り返ってみると、今作品で最も恐ろしいのは、冷戦という差し迫った破滅をどう描くかではなく、それをどう笑わせるかにある。
ユーモアを交えて描くことで、現実の核軍拡競争がいかに茶番であったかを伝えている。
そして、今作品ほど戦争の不条理さを捉えた映画は他にないと思う。
そして、今後もそうなるとは思えない。
個人的には、キューブリックはこれ以上のコメディ映画を作ったことはない。
そして、ジョージ・C・スコットの驚異的な演技、ピーター・セラーズの1本の映画で見た俳優の中で最も多才な演技、そして、スターリング・ヘイデンの映画で最もシリアスでありながら最も滑稽な役を完璧に演じた演技に拍手を送りたいかな。
あ!ただ、云えるんは、今作品は真のコメディを意図したものではなく、ここでの風刺は、人間や個人の悪徳、愚行、虐待、欠点を、嘲笑、皮肉、その他の方法で非難するもので、理想的には改善をもたらすことを意図していると思います。
通常、滑稽であることを意図しているが、風刺の目的はユーモアそのものではなく、ウィットという武器を使って、作者が強く否定する何かを攻撃することにある。
もしかしたら、今作品を見る前に、今作品が作られた当時のこと、冷戦のこと、核破壊に対する人々の本当の恐怖について、何か読むとより深く読み取れる何かがあるかと思います。
kuu

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