カエル王ちゃん

ゼロ・ダーク・サーティのカエル王ちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

ゼロ・ダーク・サーティ(2012年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

近年でも特に世界中多忙だった2011年5月のビンラディン死亡。その一報は突然舞い込んだけれども、水面下では映画の主人公のような諜報機関の血まなこの捜索がずっと続いていたという訳ですね。その間にはアブグレイブ刑務所での虐待などアメリカの闇も晒されたけど。ブッシュ政権時代、囚人への拷問は容認されていたがオバマが現れると拷問への批判も強くなった。しかしながら、拷問容認の間、911後のロンドンのテロはその手法では防げず、却ってオバマ登場以後にビンラディン殺害を果たせたのはある意味皮肉に見えた。いわゆるテロとの戦いを描いたものではあるけど、その闇にあった拷問も映し出し、アメリカを美化する映画ではないと思った。テロリストがジハードを口実に攻撃をし掛ける隣でテロとの戦いの錦の御旗の下にアメリカも非道を働いてたという真実を作中は十分含んでいると思う。ビンラディン殺害でマヤの畢生の事業は結実したが、ロンドンや中東での自爆テロなどを止められず10年近く捜した末の殺害。今更感は否めない。この10年の内に世界の警察の権威はガタ落ちとなったアメリカ、就中諜報機関の苦闘はこの映画を介して臨場感を以て窺えた。