【アメリカ大統領を観る】
第16代大統領:
エイブラハム・リンカーン
(1809/2/12 - 1865/4/15）
◆在任期間: 1861/3/4 – 1865/4/15
◆選出政党: 共和党 (イリノイ州選出)
◆在任中のトピックス
・南北戦争の開始～勝利
・奴隷解放宣言
・暗殺された最初の大統領
〈見処〉
①映画で描く史実
・日本では江戸末期にあたる1865年1月～４月。リンカーン最後の4ヶ月による、奴隷の永久解放を目指した合衆国憲法修正第13条の議会可決と、南北戦争終結までの政争を描く。
・クラシックな出で立ちな当時の米国議員においても、会派を超えた投票の駆け引きは熾烈であり、高潔なイメージのあるリンカーンであっても、理想の実現のためには、多大なる妥協を繰り返さなければならない様は、後年の『ハウスオブカード』を観ているようで、退屈しない。
②ダニエル・デイ＝ルイス 迫真の演技
・史上最も愛された大統領と言われるリンカーンを演じるのは、当時54歳のダニエル・デイ＝ルイス。享年56歳のリンカーンに似せるため髪と髭を伸ばし、１年間にわたるリンカーン研究に没頭。
・南部訛りを徹底して撮影に臨み、第85回アカデミー賞では、史上初となる3度目の主演男優賞を受賞。
・スピルバーグは当初リーアム・ニーソンをリンカーンに想定していたそうだが、誰がみても高潔なリンカーンのイメージと合致する、デイ＝ルイス迫真の演技を観ることが出来る。
③商業映画としての評価
・スピルバーグ監督による、判りやすい描写と『プライベートライアン』さながらのリアリティーの高い戦争描写により、誰もが知る史実に対して、緊張感が切れることなく鑑賞出来る作品となっている。
・また、スピルバーグの盟友、ヤヌス・カミンスキーによる撮影描写が素晴らしい。特に逆光にて人物シルエットを描く野外や、混沌とする議会内の陰影など、流石の手腕である。
