horahuki

クロニクルのhorahukiのレビュー・感想・評価

クロニクル(2012年製作の映画)
3.8
感情と肉体の欲求は決して満たされない…

ジョシュトランク監督、『ファンタスティックフォー』で完全に干されたのかと勝手に思ってたけど、フィルマ見たら新作の登録があって何か嬉しくなった!😁実写ドラゴンボールで干されたジェームズウォン監督は摩訶不思議なアドベンチャーからもう戻ってこないのかな…😭

というわけで今更ながら初鑑賞。POV+サイキックって凄く良いアイデア!サイキックって物凄く閉じた物語になるか、スーパーヒーロー的な大掛かりなものになるかの二択を選べる便利なジャンルだけど、『キャリー』『パトリック』的な閉じたサイキックをやる上でPOVという手法がカチッとはまってる。周囲から救いの手を得られないが故に心の牢獄へと閉じこもっていく。そんなサイキックの主要な要素を自分視点の世界として描く究極的な視野の狭窄的パーソナル空間を表出する上で恐らくこれ以上にない手法。

本作のサイキックは3人。それぞれがバラバラの性格を持ったキャラクターで、学校内で属してるカーストも境遇も違う。ひょんなことから同時にサイキック能力を得ることになった3人は、サイキックという幻想を持って友情を育むのだけど、幻想の土台の上に立っていることの不安定さ・危うさが、表面的に描かれる彼らのハートウォーミングな空気を冷ややかなものとして観客には伝えてくる。破綻という結末の到来を予感させつつ、それとは裏腹に楽しく明るい日常を送る彼ら。そんな画面の内外の空気感の差のもと、絶対に来て欲しくない崩壊のきっかけを待たされる緊迫感が物語に引き込む。

この3人の境遇の違いが非常に重要で、サイキック能力は主人公以外の2人からしたら自分にとっての付加価値的な意味合いのものであるのに対し、主人公にとっては自分の価値の全てと言っても過言ではないほどに重要なもの。彼が仲良く出来たのは結局は他の2人だけであり、主人公だけじゃなく3人が能力を取得したこと自体が主人公のサイキック能力による願望の実現だったのではないかとすら思える。

主人公にとってサイキック能力が自分の価値全てって書いたけど、それははぐれ者である彼と社会との距離感の指標となる。その距離を埋めようとするために幻想が現実へと関与し始める際の次元の違い的拒否感が見てて辛くなる…😭

これはかなりの良作!POVホラーの中でもトップクラスの出来なんじゃないかな〜?🤔もっと早く見とくべきだった…
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